仏テレビ局にサイバー攻撃、放送不能の事態に

TV5 Mondeはイスラム過激派組織から「世界の放送史上前例のない攻撃」を受けたと発表した。

» 2015年04月10日 07時37分 公開
[鈴木聖子ITmedia]
サイバー攻撃で一時乗っ取りに遭ったTV5 Monde

 フランス語の国際放送局「TV5 Monde」は4月8日、イスラム過激派組織から大規模なサイバー攻撃を受け、番組の放送ができない状況に陥ったと発表した。「世界の放送史上前例のない攻撃」だったとしている。

 TV5 MondeのWebサイトやTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアも被害に遭い、同局を脅迫するような内容と、イスラム教のシャリア法を称賛する内容の声明がフランス語とアラビア語、英語で掲載されたという。

 サイトなどは数時間後に復旧したが、報道によれば、乗っ取られたページには一時、「CYBERCALIPHATE」「Je suISIS」などの文字が掲載されていた。

 TV5 Mondeによると、攻撃は「インターネットネットワーク経由」で発生した。詳しい手口などは調査中だが、何者かが盗んだパスワードやマルウェアを使って社内システムに侵入したとみられる。「何もかも同時に起きた。攻撃が始まって間もなく社内のコンピュータシステムがダウンして、番組がそれに続いた」と同局は説明している。

 攻撃を食い止めるため、フランスの国家情報システム安全保障局(ANSSI)はTV5 Monde本社に係員を派遣した。しかし、対策には数日かかる見通し。

 TV5 Mondeは世界200以上の国と地域に番組を提供し、視聴者は世界2億5700世帯。2014年10月からはアラビア語でフランス語学習番組の放送を開始し、攻撃が発生した8日は、中東やアジア太平洋地域でフランスのライフスタイル紹介番組の放送を開始した日と重なっていた。

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