あなたは“マネージャーとしての自分”を愛せるか上司はツラいよ(1/2 ページ)

優秀なプレイヤーだった人がマネージャーになったとき、陥りがちなワナがある。自覚がないままハマり続けると、部下がやる気をなくし、チームは育たたなくなるので要注意。早急な軌道修正が必要だ。

» 2015年04月17日 09時00分 公開
[田中淳子ITmedia]
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 新任マネージャーが増えるこの季節、彼らが陥りがちなワナに要注意だ。自覚がないままハマり続けていると、部下がやる気をなくし、チームは育たず、業績はいずれ下降線をたどることになるだろう。

 いったいどんなワナなのか。私と新人マネージャー、Aさんの会話を聞けば、“なるほど”と思うはずだ。

 「マネージャーになると、“部下がうまくやってくれるか”“お客さまとの折衝をうまくこなして、きちんと成果を出してくれるか”……なんてことで、ハラハラドキドキすることが増えませんか?」

Aさん 「まあ、最後の最後は、自分でやっちゃえばいいかなぁと思うので、あまり心配していないんですよね。不慣れな部下に苦労させなくてもすむし」

 「もし、あなたに何かあった場合、どうなるんですか?」

Aさん 「何かあるようなことにはならないようにしますから」

 マネージャー歴が長い人はピンとくるのではないだろうか。そう、このAさんは、「抱え込み症候群」というワナに陥っている。この病、自分では“かかっていることに気づきにくい”からやっかいだ。

 そして会話は、こんな風に続く。

 「部下に任せてはどうでしょう?」

Aさん 「だって、任せられるような部下はいないでしょう? ボクほどいろいろな経験を積んできていないから、全部を分かってないし、仮に任せたらつぶしちゃうかもしれないし」

 ……。

 私は、「『任せられるような部下がいない』のは誰のせいですか? あなたが育てていないからではないですか?」と、突っ込みたいところをぐっと我慢したのだった。

 上司がこんなふうに振る舞えば、部下の不満も募る。「ボスは何でも自分でやってしまい、僕たちに任せてくれない」「上司は、自分でやらないと気が済まなくて、私達は経験を積む機会がない」と思ってしまう。そのうち、「どうせ上司がやるのだから」と諦めて、学び、努力しようという気持ちも失せてしまうかもしれない。

 本来、マネージャーとは、「自分で何かをする人」ではなく、「部下やメンバーを通じて“何かを成す”ことを期待されている人」である。にもかかわらず、“自分が動くこと”を前提にチームを動かしているとしたら、それは大きな間違いだ。仕事を任せなければ部下は育たないし、部下に経験を積ませなければ、“任せられる部下”などいつまでたっても現れるはずがない。

 マネージャーになるというのは、今までと“世界の捉え方を変える”ということ。以前にもこのコラムで書いたように、「プレイヤーとして優秀だった」ことと「マネージャーとして優秀になる」ことは別物であり、優秀なプレイヤーがマネージャーになった時、一番抑えなければならないのが“自分で動きたくなる衝動”なのだ。

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