部下から「何のために働いているのですか」と聞かれて答えに詰まったら上司はツラいよ(1/2 ページ)

現代のマネージャはプレイヤーを兼任することが多く、忙しさのあまり仕事に直接かかわることばかりを部下に伝えてしまいがちなもの。しかし、信頼される上司になるためには、夢や想いを伝えることも重要だ。

» 2015年04月30日 09時00分 公開
[田中淳子ITmedia]
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 ある企業が、入社1〜3年目の若手を対象に行ったアンケートを見せてもらったことがある。「上司や先輩が、部下である自分に対してどう関わっているか」を尋ねたものだ。

 「自分に対する期待を教えてくれる」「仕事の目的や進め方を説明してくれる」「マナーや振る舞いを指導してくれる」「良い時も悪い時もしっかりフィードバックしてくれる」といった項目ではかなり高得点がついていた。きっとこの会社は、「人を育てる」文化が根付いているのだろう。あ

 しかし、中には気になるところもあった。「上司や先輩は、仕事に対する“夢”や“想い”を語ってくれる」という項目だけが、他の項目ほど高くなかったのだ。

 「しっかり指導してくれるけれど、上司自身の夢やビジョンはあまり聴かせてもらってないかなぁ」と部下の目には映っているのかもしれない。

 実は、似たような話を聞くことは意外と多い。管理職向けの研修で、「部下たちに、自分の仕事に対する“夢”や“想い”を語っていますか?」と尋ねると、「うーん」と考え込んでしまうマネージャが多い。しばらく記憶をたどった結果、首を横に振りながら、「仕事そのものの指示やフィードバックについては話すけど、“夢”や“想い”みたいな話はしていませんね」と答えるのだ。

 「そんなことを改まって部下たちに話すなんて恥ずかしい」のかと思いきや、そうでもない。「そういうことを部下に話すという発想自体がなかった」と言うのである。

 現代のマネージャはプレイヤーを兼任していることが多く、やることは増える一方だ。現場の仕事をしながらマネジメント業務もこさなければならないし、コンプライアンスなどの観点から作るべき書類やチェックすべき事柄も増えている。そういう状態だから、部下の指導といっても、仕事に直接影響することしか手が回らないのであろう。

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