シマンテックが新事業戦略、セキュリティ専門の原点へ

「ベリタス」ブランドの情報管理ビジネスとセキュリティビジネスに分社化するシマンテックが、セキュリティ事業の戦略を表明した。

» 2015年05月21日 13時05分 公開
[國谷武史ITmedia]

 シマンテックは5月21日、セキュリティ分野における事業戦略を発表した。同社は2015年中にバックアップなどストレージ関連事業の「Veritas」と分社化するが、セキュリティ事業はこれまで通り「Symantec」として展開していく。

米Symantec エグゼクティブバイスプレジデント ワールドワイドセールス エイドリアン・ジョーンズ氏

 分社化について米Symantec エグゼクティブバイスプレジデントのエイドリアン・ジョーンズ氏は、「セキュリティ脅威が高度化、複雑化する中で立ち向かうには原点に戻る必要があると判断した。10年前までSymantecはセキュリティ専業の会社だった」と述べた。Symantecは2005年に旧Veritasを買収して以降、2つの事業領域を持っていたが、新Veritasのビジネスに関しては「こちらも有望な市場であり続けており、単独でも成功を収めるだろう」(ジョーンズ氏)という。

SymantecとVritasに分社化される

 セキュリティ専業ベンダーに回帰する今後は、包括的なソリューションサービスへシフトさせることで、事業の成長・拡大を図る方針。ジョーンズ氏は、「脅威対策」「情報保護」「シマンテックサイバーセキュリティサービス」の3つに注力すると説明した。

シマンテック 社長の関屋剛氏

 2月に社長に就任した関屋剛氏は、国内事業について同社が長年蓄積してきたセキュリティに関する膨大なデータや知見を生かす「ユニファイドセキュリティ戦略」を推進していくと表明。企業が自社のセキュリティ対策状況を客観的に把握できる「SymGauge」というツールを新たに提供する。パートナー企業がSymGaugeをベースにセキュリティの可視化などを可能にする独自製品を開発できる枠組みも用意する。

 「脅威対策」ではサンドボックス解析や相関分析などの脅威検知、被害マシンの調査や回復、物理/仮想サーバの保護といったセキュリティ機能をオンプレミス環境やクラウド環境で利用できる「Advanced Threat Protection」を展開する。「情報保護」ではSalesforceやOffice 365、Boxなどのクラウドサービスと連携して、多要素認証やシングルサインオン、情報漏えい対策(DLP)、暗号化、モバイルアプリ管理(MAM)の機能を持つ「Cloud Security Broker」などを投入する。

クラウドサービス利用でのセキュリティの“ハブ”になる

 シマンテックサイバーセキュリティサービスは、以前から提供してセキュリティ監視サービス(マネージドセキュリティサービス)の強化に加え、セキュリティインシデントの分析や緊急対応などの支援サービスを新たに提供するほか、企業のセキュリティ担当者のスキルアップなどを図るサイバー演習サービスも計画している。

標的型攻撃など高度な脅威に対して包括的なセキュリティサービスを展開するという

 関屋氏は、「一般的なインターネット利用はWeb全体の5%に過ぎず、95%は“ディープ”なセキュリティ脅威が潜む世界。サイバー攻撃者が圧倒的に有利な状況だ。その闇に光を当て、ユーザーが有利になるよう保護していくのが当社の使命」と力強く語った。

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