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» 2015年06月15日 08時00分 UPDATE

分析するだけの“データサイエンティスト”はもういらない (1/2)

不足しているといわれるデータサイエンティストを育成しようと、企業や大学が活発に動いている。工学院大学が、2016年度からデータサイエンティスト向けの学科を新設すると発表した。同大学が目指す“次世代の”データサイエンティスト人材とはどのようなものなのだろうか。

[池田憲弘,ITmedia]
photo 工学院大学。八王子と新宿にキャンパスを構える(出典:工学院大学)

 ビッグデータ分析やIoTなど、データをビジネスに生かそうとする動きが出てきて久しいが、日本企業ではまだまだデータ活用が進んでいないといわれている。

 その理由の1つに挙げられているのが“データサイエンティストの不足”である。欧米諸国に比べて、日本はデータ解析に強い人間が少ないというものだが、データサイエンティスト自体の定義や、必要とされるスキルの要件が定まっていないことから、人材育成が難しいのが現状だ。

 こうした状況を打開しようと、データサイエンティストを育成するプロジェクトを立ち上げるITベンダーが増えており、教育機関もその動きが活発化している。東京・新宿にキャンパスを構える私立大学、工学院大学では、2016年4月にデータサイエンティストを育成するための学科を新設するという。

次世代のデータサイエンティストを生み出す教育とは?

photo 工学院大学 情報学部 学部長の管村昇氏。6月11日に情報学部の学科再編に関する記者説明会を開催した

 同大学は先進工学部、工学部、建築学部など工学系を広くカバーしているが、今回データサイエンティスト向けの学科ができるのは、情報社会で活躍する人材の育成を目的としている「情報学部」だ。

 2006年4月に設立した情報学部は、IT関連分野に特化したカリキュラムを提供しており、ITに強い人材を輩出してきた。学部長の管村昇氏も「今やITとは無縁という企業は存在しません。情報に強い人材がほしいという企業は多く、社会で活躍する可能性を秘めた人材を送りだしている自負はあります。現在はIT企業への就職が大半だが、今後は一般企業の情報部門へと拡大していくでしょう」と自信を見せる。

 今回新設されるデータサイエンティスト向けの学科は「システム数理学科」だ。データ科学を中心に、経営や情報インフラについて学べるカリキュラムを用意しており、ビジネスに役立つ知見を導出するだけではなく、経営やマーケティングの戦略もリードできるエンジニアを育成するとしている。

photo システム数理学科では、データ科学以外に経営や情報インフラについて学べるカリキュラムを用意している

 システム数理学科を設立する狙いについて、同学科の教授に就任予定(現コンピュータ科学科教授)の三木良雄氏は、IT技術の発展とともにエンジニアの役割が変わってきたと話す。

 「今までのエンジニアは、人間が行っていた作業を機械が代行して高速化することに重きが置かれてきましたが、IT技術が発展したことで、エンジニアもビジネスや経営戦略に関わることが求められるようになるでしょう。それには、目標が決まっている業務を遂行することより、目標から考えるというアプローチが必要になりません。大学としても学生にどのようなスキルを身につけさせるかという認識を変えなければいけません」(三木氏)

 この“目標から考える”というアプローチは、データサイエンティストにこそ求められるスキルだと三木氏は話す。今の日本では、データサイエンティストというと数理的分析のスキルに主眼が置かれがちだが、それはデータサイエンティストに必要なスキルの一部にすぎないという。

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