マイナンバー対応を「税理士起点」に “持たずに済む”新サービス(1/3 ページ)

アカウンティング・サース・ジャパンが、税理士と中小企業のための基本無料のマイナンバー管理サービス「マイナセキュリティ」を8月に開始。中小企業のマイナンバー対応は「税理士を起点に」がキモという。

» 2015年06月16日 07時00分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 中小規模企業がマイナンバー制度への対応で苦労している。

 2016年1月に制度開始、2015年10月より実務が始まる「マイナンバー制度」。規模の大小を問わず、すべての企業や団体がこの制度に自社として対応し、制度の理解や実務準備のためのアセスメントから、制度対応のためのシステム改修、そしてマイナンバーの安全かつ正しい収集と管理、利用、廃棄における安全管理処置とその後の運用まで、多岐にわたる対応と準備を行っていく必要がある。

 2015年6月に発生した日本年金機構の大規模な個人情報漏えい事件により、皮肉にもマイナンバー制度そのものの認知は進んだかもしれない。ただ、マイナンバー制度はこのリスクが自社にも降りかかる。開始まで残される時間も少ないが、どうすればよいのか。そう理解したがゆえの企業の焦りもこの事件をきっかけに浮き彫りになった。

photo 内閣官房「マイナンバー(社会保障・税番号)制度」広報サイト(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html

 マイナンバーは当面、税、社会保障、災害対策の分野に限定して使われる。従業員を1人でも雇用する企業ならばマイナンバー管理の責務が隔てなく発生し、その取り扱いやセキュリティ対策が厳格に法として規定される。ただ、制度開始までもう半年、これから中小企業が人材やコストをかけて対応するのは事実上不可能に近く、制度開始前後の混乱が危惧されている。

 一方、企業の税務を請け負う税理士はその対策に余念がない。税理士は企業の税に関する業務を委託され専門的な「税務申告」を行う。顧問先企業に経理や簿記知識のある人材がいなければ「記帳代行などの会計業務」なども請け負う。そして、企業成長のための税務・財務観点の経営指導も行う。税務申告を中心に、税理士には顧問先企業のマイナンバーを取り扱う業務が必然として追加発生するためだ。


photo さくら中央税理士法人 代表社員・税理士の安田信彦氏 「今後の税理士の仕事が変わる。マイナンバー収集は一過性だが、例えばスキャナーを配布して顧問先に利用してもらうといった活動をすれば、会計事務所の役割の変化につながる。顧問先へ電子化やクラウドによる業務効率化も提案できる」

 とはいえ、まったく新たな業務となる制度のため、税理士としても負担やリスクが大きい。“できれば持ちたくない”が本音だが、企業の多くは「士業を頼りにする」「お金に関する相談役にしている」現実もある。

 「やはり、税理士としては率先して対応と指南をしなければならない。それにはどうするか」。さくら中央税理士法人 代表社員・税理士の安田信彦氏は、税理士業務の今後を「マイナンバーによって“今後の税理士の仕事が変わる”」と位置付け、「中小企業にとってのマイナンバー対応を間に合わせるキモは、税理士をはじめとする士業を起点に考えること」と提言する。


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