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» 2015年07月08日 08時00分 UPDATE

特集 情シスが率先して実施する「企業のマイナンバー対応」:マイナンバーで「新規ビジネス」は生まれるか? (1/2)

マイナンバー制度は、企業に手間とリスクとコストを強いる“これまでなかった業務”。できればやりたくないかもしれないが、少し先のことを考えるとどうだろう。制度開始の「その後」を考察する。

[岡崎勝己,ITmedia]

マイナンバー対応業務の“開始前”と“開始後”

 マイナンバー制度への対応において、企業はまず変更が加わる法定調書のすべてを把握(棚卸し)する必要がある。これだけでも一苦労で、法定調書の書式などが固まり切っておらず、システム対応に乗り出しにくい課題はある。しかし、こちらは経理・会計ソフトなどたいていの導入ソリューション側でマイナンバー対応が予定されていると思われ、もともと税や社会保険の部分を士業やアウトソーシングサービスに業務を委託しているならば、そこへ相談・問合せを行うのも対策の第一歩になる。

 「書式についての情報開示はかなり進んではいます。ただ(取材時の2015年4月末時点で)例えば所得税法や租税特別措置法などに関するものなど、まだすべてが公表されていない場合もあり、それがいつすべて発表されるかもおぼろげです。とはいえ時間が限られていることもあり、現時点、見切り発車で作業を進めざるを得ないとするケースも多いようです」(NTTデータの山田氏)。

 もっとも、法定調書の書式変更はしばしば発生する。「現場は対応に慣れており、対応業務への影響度はそれほど大きくない」と見られる。

 それより心配されるのが、対応にスキマが生じることである。マイナンバー対応では、重要情報(マイナンバーを含めた特定個人情報)の収集、本人確認、確実な消去といった「これまでなかった新たな業務」が発生する。マイナンバーを扱う主体となる人事や総務部門が作業を進めたとしても、基本的には各部署の既存業務に沿った対策が優先されがちだ。そのため、新たな業務の見落としが発生する可能性があり、結果として制度開始後に混乱をきたす可能性が指摘されている。

 そうした事態を避けるため、マイナンバー業務における“前”、そして“後”にも配慮を払い、対策チームを組む、少なくとも部門を横断した責任者を置くといった対策も求められる。


問題は……社員数数百人ほどの中堅中小企業

photo NTTデータ 企画調査室 IT政策推進グループの山田英二課長

 2015年10月より、マイナンバーが付番された通知カードが国民全員に届き、企業は従業員とその扶養家族の番号を中心にまずは「収集のための業務」が本格化する。「雇用関係にあり、個人番号利用事務実施者が確実に本人だと認められる場合には本人確認を不要とする」といった緩和策は政府から示されているが、従業員が多い企業ならば顔を知らない人もいる。個人番号利用事務実施者の観点で……となると解釈が難しかったりする。ともあれ、それでも全従業員とその扶養家族、さらに取引先である個人事業主などからのマイナンバー取得は極めて手間のかかる作業と想定される。

 これらをふまえつつ、このような見方がある。大規模企業はすでに社内マイナンバー対策チームを組んでおり、数年前から対策を進めていると思われ、社内リソースにもある程度の余裕がある。ある程度対策が進んでいるならば、期日までに作業は完了できそう。従業員数が数十人ほどの小規模企業は、取得や管理すべきマイナンバーの実数が限られることから、担当者の手作業で何とか当面の問題は乗り切れそう──。

 問題は、ある程度の規模がありながら、専任担当者を何人も置けない中堅・中小企業。「従業員100人単位となると、手作業で対応できる作業量ではない」(NTTデータの山田氏)ため、制度開始まで(自社ですべて対応できるほど)日程に余裕がない現在(2015年7月時点)、マイナンバーの取得も含めた管理業務の委託(アウトソーシング)を考察するなど早急な検討と対策が必要となるという。

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