人工知能で肥満解消? 社会問題を解決する「シェフ・ワトソン」(1/2 ページ)

シェフ・ワトソンの開発に参画していたイリノイ大学准教授、ラブ・ヴァーシュニー氏がシェフ・ワトソンの持つ可能性について講演を行った。

» 2015年10月14日 08時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

 「シェフ・ワトソン」が“食の社会問題”を解決する――。プロのシェフ顔負けのオリジナルレシピを考案する人工知能アプリ、シェフ・ワトソン。その役割はキッチンの中にとどまらず、世界の社会問題を解決する可能性すら秘めているという。

 なぜ、シェフアプリが社会問題を解決できるのか。シェフ・ワトソンの開発に参画していたイリノイ大学准教授、ラブ・ヴァーシュニー氏が、9月末に開催した人工知能カンファレンス「WIRED A.I. 2015」のセッションでその理由を明らかにした。

photo 人工知能カンファレンス「WIRED A.I. 2015」

誰でもプロのシェフになれる時代

 IBMが開発した自動レシピ考案アプリ、シェフ・ワトソンは、蓄積した膨大なレシピ情報を基に、ユーザーが指定した食材などの条件に合わせて新しいレシピを作り出すことができる。プロのシェフが持つ知見を取り込んで分析し、人工知能が相関関係や仮説をもとにした新たな食材の組み合わせを提案する。

 このシェフ・ワトソンのプロジェクトは、2012年に始まった。クリエイティブな料理を考案するアルゴリズムを作るために、さまざまなプロのシェフと議論を重ね、徐々に創造性の高いレシピを考案できるようになってきたという。

 例えば、2014年に米国のテキサス州で開かれたイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」で、シェフ・ワトソンは、チョコレートと一緒に枝豆が入っている面白い組み合わせのチョコレートブリトーを作った。食べた人たちから「創造力のある今までにない食べ物。新規性、材料の組み合わせ、味において、人が作ったものよりも優れている」と評価を受けたという。

 2015年の頭には、シェフ・ワトソンが考案した65のレシピを紹介する「Cognitive Cooking with Chef Watson」という料理本を出版。重版するほどの人気を博している。

photo 「Cognitive Cooking with Chef Watson」

 シェフ・ワトソンのアプリは無料でダウンロードできる。使い方は簡単だ。はじめに、材料を入力し、次に「調理法」と「ディッシュタイプ」を選ぶと、推奨する料理が表示される。そして、この料理にどんなものを組み合わせるとおいしくなるのか、どう調理すればいいかを教えてくれるのだ。

 シェフ・ワトソンの教えに従えば、アマチュアでもプロのシェフに負けない料理をつくれるというわけだ。

photo シェフ・ワトソンのアプリ
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