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» 2015年11月25日 07時30分 UPDATE

古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」:第11回 Docker環境のバックアップをラクにする「Convoy」とは? (1/3)

Docker環境のバックアップ/リストアは、物理サーバやハイパーバイザー型の仮想化基盤に比べて、異なる点が多くあります。今回はDockerコミュニティーの間で注目されている「Convoy(コンボイ)」を紹介します。

[古賀政純(日本ヒューレット・パッカード),ITmedia]

Convoy(コンボイ)って一体何なの?

 前回、Docker環境のバックアップとリストアの罠についてご紹介しましたが、物理サーバやハイパーバイザー型の仮想化基盤のバックアップ/リストアに比べて異なる点も多く、「え!?そんな罠があるの?」と思われた方も多かったのではないでしょうか。今回は、Dockerコミュニティーの間で注目を浴びているソフトウェアを紹介します。その名は「Convoy(コンボイ)」です。

 Convoyは、企業で利用されるデータを管理するための、“非常に重要な仕組み”を提供します。はたして、データを管理するための「非常に重要な仕組み」とは一体何でしょうか。攻めのITでビジネスを躍進させるDocker塾の塾生としては、その中身と勘所を知っておく必要があるでしょう。今回の前編ではConvoyの特長から読み取れる欧米におけるIT基盤の現状を織り交ぜつつ、Dockerにおけるバックアップ/リストアをひも解いていきます。次回の後編ではConvoyを使ったバックアップ/リストアの具体的な手順を紹介します。

 「Convoy」は、Docker環境に対応したバックアップ・ソフトウェアの一種です。クラウドソフトウェアの開発を手がける米Rancher Labs.が2015年8月にリリースしました。まだ歴史も浅く、知名度も高くはありません。しかし、Docker環境における開発者や運用管理担当者からの熱い視線が送られています。

 その理由は、このConvoyがエンタープライズ向けのDocker環境に対応したバックアップ・ソフトウェアを目指している点です。前回触れたように、Docker環境では既存のDockerイメージをアーカイブとしてセーブ(docker save)し、セーブしたアーカイブを別のホストのDocker環境にロード(docker load)できることを紹介しました。いわば、Dockerの標準機能を使ったバックアップ・リストアでした。

 今回ご紹介するConvoyは、Dockerの標準機能ではなく、Dockerのプラグインとして提供されているソフトウェアです。Convoyは、Docker環境におけるユーザーデータが含まれるボリュームのスナップショットの取得や適用といった企業のIT基盤においてなくてはならない「非常に重要な機能」を備えているため、注目を浴びているのです。

Convoyの特徴から、IT基盤の今をひも解く

 Dockerコミュニティーから熱い視線を浴びているConvoyは、どのような機能を提供しているのでしょうか。まずはConvoyの概要を知り、そこからIT基盤に対する要件を探ってみましょう。Convoyは主に以下のような機能があります。

  1. シン・プロビジョニングされたボリュームの作成
  2. ボリュームのスナップショットの取得/展開
  3. オンプレミス、またはクラウド基盤へのバックアップ/リストア
Convoy Convoyって一体何なの?

 カタカナが多く、なにやら難しそうですが、1番目のシン・プロビジョニングはストレージのディスクスペースを削減する技術の一種です。シン・プロビジョニングでは必要とされるサイズだけを確保し、必要な容量が増える度にディスク領域をその都度確保します。またシン・プロビジョニングは、一般的に、物理的に使用可能な容量を超える容量を「論理ストレージ容量」として作成する「オーバープロビジョニング」なども可能で、物理スペースの使用効率を劇的に高めることができます。

 ちなみに、シン・プロビジョニングの逆は、シック・プロビジョニング(またはファット・プロビジョニング)と呼ばれ、必要とされる容量分の領域をはじめに固定的に確保する方法です。シック・プロビジョニングの場合は、複数のディスクが存在する環境において、それぞれのディスクに対して、固定的に領域を確保するのですが、どうしても無駄な未使用領域が出てしまいます。しかし、シン・プロビジョニングの場合は、複数のディスクにまたがって、一つの仮想的なボリューム(バッファ・プールと呼ばれます)を構成することで、複数のディスクに細切れになった未使用領域を極力減らすことができ、使用効率が劇的に向上するのです。

Convoy 一般的なストレージシステムにおけるシック・プロビジョニングとシン・プロビジョニング

 このようなシン・プロビジョニングの技術がなぜ必要なのでしょうか。実は、ストレージ会社やアナリストが行ったエンタープライズストレージを目的とした複数の調査結果から、IT部門がストレージのプロビジョニングに関して、以下のような制限や不満を持っていることが分かりました。

  • 効率の悪いプロビジョニングを採用していることにより、未使用、あるいは、動作していないストレージ容量が存在している
  • 約3割〜5割程度の未使用領域のストレージが存在している
  • 動作していないストレージを活用できず、追加のストレージを購入しなければならなかった
  • ユーザーの75%以上がストレージのプロビジョニングは時間と資源の無駄であると感じている

 IT部門は、細切れの未使用領域が多数存在していることを当然認識しているものの、旧来のシック・プロビジョニングなどの手法を採用しているために、未使用領域があるにもかかわらず、追加のストレージシステムを購入しているのが現状なのです。このような状況に対しては、シン・プロビジョニングが威力を発揮します。Convoyは、このシン・プロビジョニングが可能なボリュームを作成することができるのです。ストレージの有効利用と投資保護という観点からもConvoyのようなシン・プロビジョニングに対応したボリュームを作成するソフトウェアやストレージ基盤は、一考の余地があるわけです。

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