インターネットを経由せずに、プライベートLAN内で、Dockerイメージをユーザーに配布したいといったニーズに対応するには、「プライベートレジストリ」を活用するのがおすすめです。実際にプライベートレジストリを立ち上げる方法をご紹介します。
前回は、Dockerプライベートレジストリの概要、そして、Dockerイメージの社内配信システムを採用している米国Hewlett Packard Enterprise(HPE)の事例をご紹介しました。今回は、Dockerイメージを配信するシステム(社内Dockerプライベートレジストリ)を社内LAN上に構築する具体的な方法を紹介します。
以下は、社内配信用のDockerプライベートレジストリのシステム構成案です。システムのゴール、手段、メリット、想定ハードウェアとソフトウェアの構成を以下に示します。
社内LAN上に接続されているクライアントマシン群に、Dockerプライベートレジストリを使って、Dockerイメージを配信するシステムを構築する手順は以下のとおりです。
DockerプライベートレジストリサーバのホストOSは、CentOS 7.3.1611(以下、CentOS 7.3と表記)とします。また、Dockerエンジンは、2017年7月時点での最新バージョンである「17.06.0-ce」(DockerエンジンのCommunity Edition)を使用します。各マシンの役割、ソフトウェア構成、ネットワーク構成は、以下のとおりです。
物理マシン | サーバ1号機 | サーバ2号機 |
---|---|---|
役割 | プライベートレジストリ | クライアントマシン |
ホストOS | CentOS 7.3 | CentOS 7.3 |
Dockerエンジン | 17.06.0-ce | 17.06.0-ce |
ホストOSのIPアドレス | 172.16.1.100/16 | 172.16.1.101/16 |
ホストOSのゲートウェイ | 172.16.1.1 | 172.16.1.1 |
ホストOSのDNS参照先 | 172.16.1.254 | 172.16.1.254 |
ホスト名 | n0100 | n0101 |
まずは、社内に設置した物理サーバ上でDockerプライベートレジストリを構築します。社内プライベートレジストリは、dockerコンテナで稼働しますので、Dockerエンジンをインストールします。今回は、最新のCommunity EditionのDockerエンジンをインストールします。Dockerエンジンの最近のバージョン(17.XX-X-ce)では、開発者向けのものやエンタープライズ向けのものなど、エディションによってインストール方法が異なります。
以下では、Community EditionのDockerエンジンをインストールする手順を説明します。
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