第7回:中小企業を救う融資サービス、FinTechで続々 弱者の味方に今さら聞けない「FinTech」の基礎知識(2/2 ページ)

» 2016年04月04日 07時00分 公開
[吉岡優ITmedia]
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日本で融資分野のFinTechサービスは登場するか

 本連載の第1回で、Fintechの発展を支える要因として、(1)情報処理のコストが大きく下がり、多種多様で大量なデータの蓄積や処理、分析が容易になったこと(2)各種センサーやスキャニング技術がストレスのない実用域に達したこと(3)人工知能や機械学習、非構造化データ解析といった技術が実用枠に達したこと(4)スマートフォンが急速に普及し、人々がITを利用するシーンが変わってきたこと、の4つを挙げたが、実は融資はこれらの各要素の恩恵を受けやすい分野なのである。

 例えば、SNSや各種データの分析による与信判断(1、3)、本人確認書類等のスキャン利用による非対面取引の推進(2)、職人技の世界だった与信判断の機械化(3)、必要なときに手軽に融資を受けられるスマートフォンの利用(4)といった形で、さまざまな新しいサービスが登場している。

Photo FinTechの発展を支えた4つの要因

 日本は、米国などと比べて比較的中流層が多いことや、貸金業法の総額規制もあり、個人向けの無担保融資において、「借りたいが借りられない」層に向けた新たなサービスが次々と出てくることは考えにくい状況だ。一方、事業者向けの融資については、2015年の12月に、クラウド会計のFreeeが銀行11行と協業して新たなサービスを開発すると発表するなど、新サービスが登場する可能性は大いにあると思われる。

著者プロフィル:吉岡優

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 GMOペイメントゲートウェイ上席執行役員。1988年東京大学法学部を卒業後、三菱銀行に入行。1997年ノースウェスタン大学経営大学院卒業。その後、ニューヨーク支店、システム部、マーケティング部等を経て、2009年にイーネット取締役企画部長就任、2013年よりGMOペイメントゲートウェイに入社し、決済・金融分野での製品戦略、新規事業企画を担当。


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