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» 2016年04月12日 13時00分 公開

半径300メートルのIT:例えば私が明日、この世に存在しなくなったら (1/2)

銃乱射事件の容疑者が持っていたiPhoneのロックを解除するか否かの議論が注目を集めましたが、同じロック解除の話でも私が気になったのは、「死んだ息子のiPhoneに残っている写真を見たいからロックを解除してほしい」という親の訴えでした。

[宮田健,ITmedia]

 2016年2月、米国で巻き起こった興味深い“対決”が注目を集めました。銃乱射事件の容疑者が持っていたiPhoneに証拠が残っている可能性があるとして、FBIがiOSを開発するアップルに「ロックの解除」を依頼したのです。

 どうやらそのiPhoneには、パスコードが施されているだけでなく、一定回数の試行に失敗すると全てが消去される機能が有効になっていたため、総当たり方法が使えないことが分かっていたようです。こうした理由から、製造主であるアップルに「裏口を作ってくれ」というのが、FBIの主張だったわけです。

 ところがこれに対し、アップルは明確に拒否の姿勢を示しました。それだけでなく、GoogleやMicrosoft、FacebookやTwitterなどもアップルの主張に同意したことから、大きなムーブメントになりました。ここまでの話は、皆さんもどこかで聞いたのではないかと思います。

 ところが――このお話は急激にしぼんでいきます。FBIが独自のルートでロックの解除に成功し、訴えを取り下げたからです。多くのプレイヤーがさまざまな主張をし、「声をかけてくれれば協力するよ」というハッカーも登場。そうこうするうちに、いつの間にかゴシップ的な話題に成り下がってしまいました。これはこれで、深く議論をすべき課題だとは思っています。

 ただ、ロック解除の問題の中には、気になるニュースも混ざっていました。若くして死んだ息子のiPhoneに残っている写真を見たい、だから「ロック解除をしてくれないか」――という親の訴えです。これについては、ちょっと考えてしまいました。

秘密の情報をどう家族に渡すか

 もちろん、犯罪を犯した人の「ロックされたスマホ」と、思い出のカケラとして残された「ロックされたスマホ」を同列に語ることは難しいです。恐らくどちらも、ルールを作って対処すべきものだと思います。

 私にとって、この問題は他人ごとではないように思えました。もちろん、自分のスマートフォンはパスコードをかけ、指紋認証でロックを外せるようにしており、複数回失敗すれば全消去という設定にしていますので、FBIですら破れないものだということが分かっています。

 ただし、もし次の瞬間、不慮の事故で自分自身がいなくなったとしたら――家族にだけは、その中にあるデータを渡したいと思うのです。銀行や証券などの資産は相続の対象になるため、モバイルデバイスとはあんまり関係がないでしょう。ただ、クラウドに保存された写真やデータなどは、もしかしたら家族が必要とするかもしれません。

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