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» 2016年04月15日 08時00分 公開

ハギーのデジタル道しるべ:新人に教えるためのノウハウ、「物差し」の壊し方 (1/2)

ベテランと新人の間には経験や考え方に大きな違いがある。その違いを踏まえて、新人にマナーやリテラシーをどのように教えていけばいいのだろうか。

[萩原栄幸,ITmedia]

 前回は新人にマナーやリテラシーを伝えるために、まず“スタート地点”として認識しておきたい点を挙げた。筆者のこれまでの経験や最近の若者の現状から、具体的な指導の内容についてご紹介してきたい。今回は「物差し」をキーワードに解説しよう。

・「物差し」を数多く作る。その場で実践してみせ、新人君の価値観の多様化につながるヒントになればそれでいい。

 これはどういうことか。最近のセミナーでは例えば、このように話している。

 「カラオケバトル」系の番組をご存じの方は多いと思う。筆者もよく見るジャンルだ。この番組はカラオケを歌ってその優劣を判定し、チャンピオンを目指す。ユニークな点は、採点を音楽の専門家ではなくコンピュータが行うことだ。良い番組だと思うが、筆者は何か視聴者の感覚とすれ違いがあるという点で違和感を覚える。

人間の歌声をコンピュータの採点で競うが……

 それは歌い手が高得点を得るために、「どう歌えばコンピュータソフトが加点してくれるか」という点にのめり込んでしまっていることだ。これは明らかに本末転倒ではないだろうかと思う。

 その昔、昭和40年代の一時期に「コンピュータ占い」が流行し、「コンピュータが占うから人間が占うよりはいい」と聞いたことがあった。また、客寄せとしてその場で自動的にロボットが料理した食べ物が、人間が手作業で作るものより数倍も高く売れる時代があった。このカラオケバトルも同じだろう。人による生演奏は単価が高いからカラオケという発想は分かるが、コンピュータの採点による数値で優劣をつけるのは、いかがだろうか。

 様々なシステムを構築したり数百本のプログラムを作成したりしてきた経験に照らしてみると、所詮カラオケの採点ソフトは人間があるロジックで作成したものであり、人工知能を使って毎回教育されながらそのロジックが人間の感性に近づいてのものではない。メーカーが違えば採点の基準も変わるので、当然ながら歌う人が同じでも採点ソフトによって点数は違う。

 ところが参加者の多くは「高得点」を望むため、コンピュータソフトが高得点を出すように歌い方を変えるという本末転倒な状況になっている気がしてしまう。生演奏の代替であったカラオケが人間の評価より上に行くのはまだ早いと思う。カラオケが歌い手に合わせながら音程や間の取り方を変える生演奏ではないので、音楽を楽しむという本質から離れてしまうと指摘する人もいるだろう。

 将棋や碁の世界では何十年にもわたり研究してきた方々の集大成として、コンピュータが有段者を上回る状況になっているが、カラオケの採点はそこまで研究されているとは、どうも思えない。だから、番組を見て前者の方がうまいと感じたのに後者が勝ったということが起きる。歌は人にどれだけの感動を与えたか(という物差し)で優劣が決まるのであって、「音程」「抑揚」「しゃくり」「こぶし」「フォール」などの要素を単体で組み合せた採点によって決まるものではないからだ。この領域にまでコンピュータが、それも極めて高度な技術を駆使したものでない「ソフト」が侵蝕することに、不快を感じる人もいるからだ。

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