7年前の本連載で「プライベートクラウドは『クラウド』か」と題した記事を書いた。それが、今では多様なクラウド形態に進化しているようだ。どう変わりつつあるのか。
7年前の本連載で「プライベートクラウドは『クラウド』か」と題した記事を書いた。それが今では、多様なクラウド形態に進化しているようだ。一体、どう変わりつつあるのか。
まずは、7年前の記事から、そう疑問を投げかけた理由をあらためて挙げておこう。
「クラウドの本質的なポイントは、ITリソースを自前で“所有”するのではなく、必要な分だけ“利用”するところにある。従ってユーザー企業はITリソースを持たなくてよい。これに対し、プライベートクラウドはクラウド化に向けた最新技術を活用できるものの、ITリソースを自前で持つための初期投資が掛かる。これは従来のシステム構築と同じだ。この点をはっきりと認識しておく必要がある」
7年前、プライベートクラウドという言葉が台頭してきたのに対し、筆者はこう書いた。少々言葉足らずだったかもしれない。つまりは「アズ・ア・サービス」かどうかを問いたかったのである。
だが、ここにきてあらためてプライベートラウドに注目が集まるようになってきた。調査会社のノークリサーチが先頃発表した中堅・中小企業におけるプライベートクラウドの利用形態に関する調査結果によると、年商300〜500億円の中堅上位の企業では、今後プライベートクラウドを導入する可能性が高いと回答した割合が50.1%に達した。
ノークリサーチはプライベートクラウドの形態を「オンプレミス」「ハイブリッド」「ホステッド」の3つに分類。これらのいずれかについて、今後導入する可能性が高いと回答した企業の合計が過半数に達した形だ。
こうしたことから同社では、「中堅上位企業層ではパブリッククラウドと並行して、プライベートクラウドの活用も進展していく可能性が高い」と予測している(図1)。
同社はプライベートクラウドの3つの形態とパブリッククラウドについて、図2のようにまとめている。また、それぞれの特徴について図3のように整理している。
同社の説明によると、オンプレミスプライベートクラウドは、クラウドという言葉が登場した初期段階において、「パブリッククラウド」の対義語として使われた「プライベートクラウド」に該当する。まさしく先述した7年前の記事における見解の通りである。
また、ハイブリッドプライベートクラウドは、サーバをユーザー企業が所有するという点ではオンプレミスプライベートクラウドと同じだが、OpenStackなどのクラウド向けシステム基盤を採用し、同じ基盤を採用するパブリッククラウドとの親和性を高めている点が異なる。
そしてホステッドプライベートクラウドは、サーバを1社で占有するものの、所有しない形態を指す。この点は旧来から存在する「物理サーバ占有型のホスティング」と同様だが、ハイブリッドプライベートプライベートと同じようにクラウド向けシステム基盤を備えている点が異なる。
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