若者の「PCが使えない」は、退化ではなく進化である仕事と生活と私――ITエンジニアの人生(2/2 ページ)

» 2016年08月10日 07時00分 公開
[横山哲也ITmedia]
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「使えない」のではなく「使わない」

 若者がPCを使わないのは、PCを使う必要がないし、PCは使いにくいからである。今のPCが本当に使いやすいと思っている人がいたら、その人は自分の感性を疑ったほうがいい。単に文書を見るだけなら、明らかにスマートフォンやタブレットの方が使いやすい。

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 特殊なアプリケーションが必要な場合や、複雑な表の操作や、マクロを利用したい場合などはPCが必要になるが、ある程度ビジネス経験を積まないと、PCの便利さに気付くことはないだろう。学生のうちにPCを学習する意味が感じられないのは当然だし、それでは学習意欲も湧かないことだろう。

 ほとんどの世代の社会人は、会社に入ってからPCの操作を習ったはずだし、それで特に問題はなかっただろう。もともとPCは誰でも使えるように設計されているのだから当然である。決して使いやすくはないのは大きな問題だが、ちょっと練習すれば“一応使える”ようにはなっているはずである。たとえOfficeソフトの「スタイル」の概念を理解していないとしても。

 また、電子メールのマナーもよく問題になる。タイトルが付いていないとか、いきなり本文から入るとか、そういう話である。

 これも、“立派な大人”が「教えてください」とか「ありがとうございました」「ご相談」などというタイトルを付けてくるのだから、似たようなものである。むしろ、レスポンスの早い若者の方が優秀ではないか。

 いきなり本題に入るのも、電子メールならそれほど不自然でもないだろう。付き合いの浅い顧客に送るのは考えものだが、そもそもビジネス文書のマナーは新人研修で学ぶものだから、問題ではない。

 もう一度書いておく。学校でPCの操作を覚える必要はない。今の若者は、旧世代の人間よりもはるかに優秀だから、必要ならすぐ習得する。今、PCを知らないのは、必要がないからだ。必要のないことを学習することはできない。

著者プロフィル:横山哲也

グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverの全てのバージョンを経験。趣味は写真(猫トライブ)。詳しいプロフィールはこちら


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