最初のリリースから1年が経過したWindows 10は、これから企業導入の本格的なフェーズを迎えていく。今回は企業向けライセンスがどう変わるのかについておさらいしてみたい。
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Windows 7/8.1からWindows 10へのコンシューマ向け無償アップグレードが7月29日で終了し、8月2日(米国時間)からはWindows 10 Anniversary Updateの提供も始まった。今後のMicrosoftは、コンシューマ向けにWindows 10を普及させる施策よりも、企業において大規模にWindows 10を導入してもらうための施策を進めていく。そのためにボリュームライセンスも変化している。今回はWindows 10で変わるボリュームライセンスについて解説する。
企業向けのWindows 10には、「Windows 10 Enterprise(以下、Win10 EP)が用意されている。多くの機能は、一般でも利用できるWindows 10 Professional(以下、Win10 Pro)と変わらないが、企業向けとしてのWin10 EPはセキュリティ関連機能が強化されている。
Win10 EPは、PCショップなどでパッケージとして販売されておらず、PCメーカー各社からもプリンストールされたPCが販売されていない。Win10 EPを使用するには、Microsoftのボリュームライセンス「Software Assurance」(以下、SA)を契約する必要がある。
ボリュームライセンスは企業規模によって異なるが、大きく分けると、ライセンス数が500を超える「Enterprise Agreement」や「MPSA」(マイクロソフト製品/サービス契約)などがある。同社は、2017年にはEnterprise AgreementをMPSAに含めて、よりシンプルな形にしようと考えている。この他に教育機関、公共機関、医療機関向けのボリュームライセンスも用意されている。
500ライセンス以下(最低3ライセンス)には、「Open Value」や「Open License」が用意されているが、これらもよりシンプルな形に統合される。一括払いや月額課金などで名称が異なることもある。
Win10 EPは、Win10 ProがインストールされているPCにしか導入できない。導入方法はWin10 EPをPCに再インストールするのではなく、Win10 Proのプロダクトキーを変えるだけだ。これでWin10 EPの機能を利用できるようになる。
SAに関しては、以前なら契約期間中に新しいバージョンのWindows OSがリリースされると、追加費用必要なしにアップグレードできるが大きなメリットになっていた。しかしWindows 10になってからは、継続的にアップグレードが提供されるため、SAのメリットが薄れてきた。そこでMicrosoftは、SAのメリットとして、Win10 EPを利用できたり、SAに付属しているMicrosoft Desktop Optimization Pack(MDOP)が利用できたりするなどのメリットを挙げている。
ただし、Windows 10 Anniversary以降は、Win10 EPに「App-V」(アプリケーション仮想化機能)や「UE-V」(ユーザーエクスペリエンスの仮想化機能)が標準で入るようになった。逆にいえば、Windows 10 Anniversary以降ではこれらの機能を使うためにWin10 EPが必要になる(Win10 Proはサポート対象外)。
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