「で、それ本当にできるわけ?」 実現可能性の調査で大失敗DMP成功まで、あと1センチ(5)(3/3 ページ)

» 2017年01月13日 08時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

ツールで全てを解決しようとする圧力には、強く「NO」を

 専門知識を多く持つ人の中には、顧客からの要求における実現可能性に疑問を持つ人も少なくありません。ツールで全ての問題を解決しようとする傾向が強く、「いつからDMPは業務負荷軽減ツールになったんだ」と毒づく声も聞いたことがあります。

 自動化できるほどオペレーションも固まっていないので、既存業務との統合も兼ねたDMPへと話が膨らみ、第2回の「DMPなんて何に使うの?」で取り上げたように、必要性や効果が分かりにくくなり、話が進まなくなる恐れがあります。

 「ツールに対する、顧客側の妄想が過ぎる」と愚痴を漏らすSIerの人もいましたが、その妄想を実現させる技術でシステムを作るのも、「それは今の技術ではできません」と顧客を説得するのも、SIerや広告代理店の仕事なのかもしれません。

photo ツールは決して万能ではない。それを理解してもらうのもまた仕事なのかもしれません(写真はイメージです)

 また意外と知られていないのが、小規模で始めるDMPでできることは限られるため、「あれもこれもやりたい」と言うと、すぐにコストが高くなってしまう点です。その結果、ツール選定時にベンダーとの値引き交渉が発生してしまい、選定の大きな足かせになってしまうケースも少なくないようです。

 この連載を通じて繰り返している話ではありますが、「顧客のインサイトを知るのにこの機能はマストか?」と問い続けることが重要かもしれません。客観的な立場でシステム開発を先導できるSIerならば、この視点をユーザー企業側にいつでも示せるようにしておくべきでしょう。

 もちろん、今回の話はSIerだけではなく、ユーザー企業の導入担当者にも当てはまる話です。「あれもやりたい、これもやりたい」という要望が経営陣から落ちてきたら、どうすべきでしょうか。システム内製化のトレンドもありますし、導入プロジェクトをスムーズに進めるためにも、今回紹介した視点は欠かすことができないはずです。

著者プロフィール:松本健太郎

photo

株式会社ロックオン開発部エンジニア 兼任 マーケティングメトリックス研究所所長。

セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化などさまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とする。

本業はデジタルマーケティングと人工知能を交差させて、マーケティングロボットを現場で運用すること。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ