「DMPって何か失敗している企業が多いらしいし、手を出すのが怖い」――。そう考える人は多いと思いのではないでしょうか。とはいえ、彼らが失敗したポイントはほんのささいな、そしてすぐに修正できるケースが多いのも事実です。
企業のビッグデータ活用という文脈で、昨今よく耳にするようになったDMP(Data Management Platform)。企業が持つ顧客データやマーケティングデータ、Web上だけではなくリアル店舗などのオフラインのデータも含めた、さまざまなデータを統合的に管理することにより、マーケティング活動全体を最適化するためのプラットフォームです。
さて、読者の皆さんは「DMP」と聞いてどのようなイメージを浮かべますか?
「成功事例を聞かないからよく分からない」「導入がうまくいっていない企業が多いと聞く」
このように、皆さんが抱く印象はあまり良くないかもしれません。一時期DMPが話題になり、さまざまな企業が導入に挑戦しましたが、失敗するケースが多かったのは事実です。本連載では、DMP導入に失敗してしまう原因とその解決策を紹介しながら、皆さんのDMPに対するイメージをポジティブなものに変えていければと思っています。
データ提供企業が保有しているオーディエンスデータ(属性情報など)を蓄積・管理するプラットフォームを指す「オープンDMP」。自社で保有する顧客や潜在顧客の行動を一元管理するデータベースを指す「プライベートDMP」。DMPは大きくこの2種類に分かれます。昨今は、オープンDMPはプライベートDMPを運用するためのツールという位置付けに変わりつつあることもあり、この連載ではプライベートDMPのことをDMPと呼びます。
さて、あらためて「DMP」とは何でしょうか。記事冒頭でも説明していますが、私なら「インサイトとアクション、そしてそのために必要な全て」と言います。
DMPといえば、今まではオーディエンスデータに基づく広告やメールの配信といった施策、“アクション”の部分にばかり注目が集まっていました。その一方で「オーディエンスを構成するセグメントをどう発見するか?」「なぜそのオーディエンスと判断したのか?」という洞察、“インサイト”についてはあまり語られなかったように思います。
では、そもそもインサイトとは何でしょう。
インサイトリサーチのトップランナーであるデコム代表の大松孝弘氏は、インサイトを「顧客を動かす“隠れた”心理」と表現しています。アクションは、発見した課題に対する仮説を立てた結果、起こす行動というわけです。
ならば、その課題をどうやって見つけるか、課題を発見したとして、良い仮説をどう立てるのかが重要になります。この課題発見と仮説構築の役割を「インサイト」が担っているのです。インサイトは“心理”という人間の感情を扱うので、裏付けとしてファクトが欠かせません。そうでなければ「単なる思い付きになる」と大松氏は警告しています。
DMPとは、まさに人間の隠れた心理の根拠、裏付けとなる数字を担う存在なのです。
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