社内のデータを活用するため、約1年かけてプライベートDMPを構築したクレディセゾン。その裏にはセルフサービスBIの導入や、社内初のクラウド導入といったさまざまなチャレンジがあったという。
今まで生かしきれていなかった自社のデータをどうビジネスに活用すればいいのか――。データ活用を進めようとする企業が、最初に悩むポイントだろう。
ここ数年、特にWebを活用したマーケティングに積極的な企業の間で、関心が高まっているのが「プライベートDMP(Data Management Platform)」だ。自社サイトへのアクセス履歴からPOS、販売データ、顧客データなど、自社独自のマーケティング関連データを集約する基盤として、導入する企業が増えてきている。
「セゾンカード」と「UCカード」を展開するクレディセゾンも、そんな企業の1つだ。同社はデジタルガレージと協力し、約1年かけてカード会員の各種情報を統合管理する大規模なデータ基盤「セゾンDMP」を構築。2016年6月に稼働を開始した。
クレディセゾンがプライベートDMPの導入を決めたのは、同社がカード会社ならではの有用な情報を豊富に持っていながら、それを活用しきれていなかったという背景がある。セゾンDMPの開発と運用を担当する、同社ネット事業部 インキュベーション部 部長の吉田慎一さんは次のように話す。
「クレジットカードの会員になる際には必ず本人確認が必要なので、カード会社は他の業種に比べて正確な個人属性情報を持っています。顧客の購買履歴のほか、10年ほど前からWeb会員向けに『永久不滅.com』というポイントサイトを中心にWebでのカード利用の促進施策を行っており、Web上の購買や行動履歴もあります。しかし、それらの情報は社内でバラバラに存在していたため、活用しきれていませんでした。これを一元管理して活用しようというのが、セゾンDMPです」(吉田さん)
全社横断的なデータ活用のソリューションとして、プライベートDMPを選んだクレディセゾン。新しいことへのチャレンジに対しては、前向きな社風なのだという。
「インキュベーション部は、ベンチャー企業と連携して自社を成長させていくというオープン・イノベーションに取り組む部門でもあります。他社との交流の中でDMPの情報に触れ、これは取り組むべきだと決まったのです」(吉田さん)
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