セルフサービスBI

「脱Excel」か「まだExcel」か――その選択のポイントとは?セルフサービスBIの「光と闇」(前編)(1/3 ページ)

企業のデータ活用において「セルフサービスBI」を導入するケースが増えてきているが、その成否は二分しているのが現状だ。その理由はどこにあるのか。今、あらためてBIを取り巻く環境をガートナーの堀内氏に解説してもらった。

» 2016年07月28日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 業務部門が情シスに頼らず、自らデータ分析やリポート作成を行う「セルフサービスBI」。昨年ごろから一気に注目度が上がり、導入する企業が増えてきているものの、効果が上がるケースと上がらないケースに分かれてしまっているのが現状だ。

 「データの活用を考えるならば、情報システム部門としては、もはやセルフサービス型のBIを検討せざるを得ない、または取り組まざるを得ない状況にあると思います」

 こう話すのは、BI分野に詳しいガートナー ジャパンの堀内秀明氏だ。成功事例や失敗事例、そして製品も増え、ますます選定が難しくなっている「セルフサービスBI」と情報システム部門を取り巻く状況について、同氏に聞いた。

情シスがセルフサービスBIに取り組むのは「宿命」

photo ガートナー ジャパン リサーチ部門アプリケーションズ マネージング バイス プレジデント 堀内秀明氏

 企業の情シスが「セルフサービスBI」を検討せざるを得なくなっている理由として、データ分析の分野においては、業務部門が製品を勝手に導入してしまうケースが多いことを挙げる。

 「小規模であれば無料で使える製品も多く、業務部門としても気軽に使い始められるため、この傾向は今後も進んでいくでしょう。ユーザーが増えてくれば、情報システム部門も無視できなくなる。遅かれ早かれ、情シスがセルフサービスBIに向き合うのは”宿命”ともいえるでしょう」(堀内氏)

 セルフサービスBIによるメリットは「情報提供にかかる時間が短縮できた」「今まで帳票を作っていたのが作らなくてよくなった」などさまざまなものがある。

 特にデータの作成や分析を1つの部署で一元管理しているような企業の場合、業務部門が求める分析のスピードやレポートの量が増えていき、最終的にニーズに応えきれなくなることも多い。そのような企業にとっては、セルフサービスBIは魅力的なツールに映るだろう。しかしその一方で、Excelでデータ分析を行う企業も多いのは事実だ。堀内氏はその理由を次のように話す。

 「一般の人にまで広く浸透しているため、取引先ともデータをやりとりしやすく、使い方を解説する書籍も数多く出回っています。一元管理型のBIでカバーしきれないところをどうするかという観点では、これまでも、そしてこれからも、基本的にはExcelが中心でしょう。業務部門がBIのダッシュボードからデータをCSVファイルなどで切り出して分析しているというケースは多い。そこから脱するのか、まだまだExcelなのかという状況だと思います」(堀内氏)

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