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» 2017年03月29日 09時35分 UPDATE

ITmedia エンタープライズ ソリューションセミナー レポート:デジタル変革に追い付くための、ITモダナイゼーションの「あるべき姿」とは? (1/4)

レガシーシステムのマイグレーションによる、いわゆる「現代化」は競争力を高めるうえで武器となる半面、実践にあたっては厄介な課題も存在する。現代化に向けた最新動向と、課題解決を支援する取り組みとは。

[岡崎勝己,ITmedia]

 どんなに優れたシステムも老朽化は避けられない。だが、継続的な機能改善で複雑化した結果、もはやどこから刷新すればよいのか分からなくなっているシステムも散見される。可能ならば、このまま使い続けたい――これが“塩漬けシステム”を抱えるITスタッフの本音だろう。

 とはいえ、経営環境の変化が激化する中、企業が生き残る上でシステムに最新技術を取り込むのは必須といえる。リアルタイムで経営データを把握するのはもちろん、ビッグデータ活用、さらにその先にあるAIを使った業務効率化と高度化を業務に生かせるかどうかで競争力が大きく変わるのは言うまでもない。

 ITmedia エンタープライズ編集部は3月15日、システムの「現代化」をテーマにセミナーを開催した。オリバーワイマングループによるシステム現代化に向けた企業の動向解説や、情報活用に極めて積極的なカブドットコム証券の取り組み、さらに、現代化を支援する最新ソリューションが多数紹介された。

産業のモジュラー化に合わせた基幹システムのモダン化を

photo オリバーワイマングループ セレント部門 アジア金融サービスプラクティス シニア・アナリスト 柳川英一郎氏

 「システムの現代化は、企業の将来的な姿を決める作業の一環に他なりません。その影響範囲はシステムを超え、組織や体制、企業文化にまで及ぶのです」

 基調講演の冒頭で、このように強調したのはオリバーワイマングループのセレント部門 アジア金融サービスプラクティスでシニア・アナリストを務める柳川英一郎氏。絶えず変化する経営環境に対し、業務や組織の見直しは不可欠だ。その結果として、システム要件が再定義されてこそ、企業はシステム刷新に乗り出すことが可能となる。

 ただし、日本企業、とりわけ金融機関は米国と比べて、システムの現代化に乗り出しにくい面もあるという。その理由は日本の“暮らしやすさ”だ。事実、日本では金融機関や各種店舗が身近にあり、ほとんどの消費者は購買活動に不自由を感じていない。

 セレントが行った、金融イノベーションに関する消費者意識調査によれば、デジタル行動志向の強い消費者(デジタル上級者)の割合は、北米の2割強に対して、日本では5%程度とその差は大きい。消費者のデジタル志向にフォーカスした、大胆な業務やシステムの革新が進展しにくい環境にある。

 もちろん、グローバル化が加速する中で、システム刷新に取り組む金融機関もあるが「プロジェクトのオーナーが不明確などの理由が原因で、勇気を持って決断しながらも、進捗が遅れがちなのが実情」と柳川氏。この状況を打開する処方箋として同氏が挙げたのが、システム整備の基本となる「スコープ定義」と、どのようにしてそこにたどりつくか、そのための「アーキテクチャ設計」、そしてリスクと実現可能性を検証する「プロジェクト実行力」だ。

 その上で、柳川氏がこれからのシステム更改で配慮が必要だと強調したのが「API(Application Programing Interface)」と「データモデル」だ。数年来、多くの企業はBPO(Business Process Outsourcing)によって成果を上げてきた。これは、業務を外に切り出しても、十分な効率性を実現できる仕組みを委託先と構築できたからこそ。この業務のモジュラー化を実現するうえで上記の2つが鍵を握る。

 既に北米では業務のモジュラー化の成果としてFintechによる新サービスの登場が相次いでいる。金融業界を俯瞰してみると、伝統的な金融機関が担ってきた、「基幹業務」における合従連衡も本格化している。

 「こうした状況を踏まえれば、国内の金融機関も自社で全てのプロセスを内製化する『インテグラルモデル』から、業界全体のバリューチェーンを見直し、自社に最適な水平・垂直分業を実現する『モジュラーモデル』への進化が急務となっているのです」(柳川氏)

 産業構造のモジュラー化は音楽業界やエアライン、ホテルなど、多様な業界で進んでいるという。環境変化に合わせて基幹システムを柔軟に、迅速に進化させることが、今後の企業の明暗を分けることになりそうだ。

photo 企業のデジタル化のレベル。システムの刷新は、デジタル化によるビジネスモデルの変革を見据えたものである必要があると柳川氏は強調した
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