SIerが成長を続けるために必要なことは 好調、NTTデータ社長が語る神髄Weekly Memo(1/2 ページ)

業績好調のNTTデータが新たなグローバルビジョンを打ち出した。ITサービスベンダーとして「世界トップ5」入りを狙う。その原点には同社がこれまで培ってきた「SIer道」がありそうだ。

» 2017年05月15日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

第3ステージへ向かうグローバルビジョン

Photo 会見に臨むNTTデータの岩本敏男代表取締役社長

 「グローバルなITサービスベンダーとして“Trusted Global Innovator”を目指し、次なるステージに向かっていきたい」――NTTデータの岩本敏男社長は、同社が5月10日に開いた2016年度(2017年3月期)の決算説明会で、今後の事業展開に向けて強い意欲を示した。

 今回は、このNTTデータの次なる戦略について取り上げたい。というのは、業績が好調なのもさることながら、グローバルにおいて日本のITベンダーの存在が目立たないといわれる中で、果敢に挑戦する姿勢を強く打ち出しているからだ。

 NTTデータが同日発表した2016年度の連結決算は、売上高が前年度比7.3%増の1兆7324億円、営業利益が同16.1%増の1171億円で、いずれも過去最高を更新。グローバルでのM&Aや大型案件の獲得が好調の要因となった。連結売上高は1988年の設立以来、右肩上がりを続けている。

 グローバルでのM&Aで特に注目されたのは、2016年3月に発表した米Dell(現Dell Technologies)のITサービス部門(Dell Services部門)の買収だ。同年11月に大半の手続きを終え、2016年度第3四半期(2017年1〜3月)から損益面での連結対象になった。2017年4月からはNTTデータの米国子会社と事業を一体化させた形となっている。

 2017年度(2018年3月期)の連結業績は、Dell Services部門の統合などにより、売上高が前年度比18.9%増の2兆600億円、営業利益が同2.5%増の1200億円になる見通し。特に51カ国・地域で展開するグローバル事業の売上高が同50.5%増の9080億円となり、海外売上高比率が44%に達する見込みだ。同社は2016〜2018年度の中期経営計画で売上高2兆円超を目標に掲げているが、いよいよ手が届くところまできた。

 その中期経営計画とは別に、とりわけグローバル事業の成長を目指して、同社がかねて掲げてきたのがグローバルビジョンである。具体的には、図1のように3つのステージがあり、まず「グローバルカバレッジの拡大」を掲げて海外売上高比率30%を目指した第1ステージは2014年度(2015年3月期)に達成。また、「グローバルブランドの確立」を掲げて売上高2兆円超および海外売上高比率50%を目標とした第2ステージの達成も前述の通り見えてきた。その次に設定したのが、新たに打ち出した第3ステージである。

Photo 図1 NTTデータのグローバルビジョン
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