ストレスマネジメントに有効な「事実と解釈を分けて考える」コツを解説します。ストレスだけでなく、トラブルシューティングにも、意見の違う人とコミュニケーションをとる際にも活用できそうです。
この記事は大里真理子氏のブログ「マリコ駆ける!」より転載、編集しています。
先日、研修を2つ受けたところ、どちらの研修でも、「事実と解釈を分けて考える」ことがテーマに挙がりました。その後、私も同じテーマを全体会議で話すことに。その内容を紹介します。
「事実と解釈を分けて考える」――この話をするのは、実はこの1年で3回目です。トラブルシューティングという観点から話したときもあれば、コミュニケーションの齟齬(そご)という観点から話したときもあります。今回は、ストレスマネジメントやアンガーマネジメントという観点から話してみます。
ストレスや怒りを感じたときに「誰かにストレスを与えられた」「自分が怒ることを誰かにされた」と思うことがあるかもしれません。
しかし、驚くべきことかもしれませんが、他人があなたを傷けることはありません。悲しいことに、「あなた」自身があなたを傷つけるのです。
例えば、いきなり電車の中で隣の人に舌打ちをされたとします。それは「事実」です。しかしながら、人間はその事実に何らかの解釈を付けたくなる動物です。きっと、こんなふうに、人それぞれのはずです。
Dさん以外の人は、心の中に何らかの波が立ちました。Aさんは腹が立ったかもしれません。Cさんは恐怖でしょう。Bさんは、あわれみの心を持ったことでしょう。
事実は1つ。「隣の人が舌打ちした」です。しかし、解釈の仕方で、さまざまな感情が沸き立ちます。
公衆の中の狭い空間で舌打ちをするというのは、マナーとして決して褒められたものではありません。しかし、他人をコントロールするのは簡単ではありません。現実問題、全く知らない隣人の舌打ちをやめさせることは難しい。注意してやめてくださる人ならいいのですが、そうでない場合は、さらに不快な思いをする恐れすらあります。
一方、解釈は自分でコントロールすることができものです。事実は1つですが、解釈は人それぞれです。いえ、同じ人でも、違う時間、違う場所、違う気持ちのときは違った解釈をすることもあります。
1つの事実に対してさまざまな解釈があることを知り、自分の中でさまざまな解釈を多方面からできるようになると、いたずらに自分で自分を傷つけることは減ります。
相手が意図して自分を傷つけようとしていたときですら、自分を守ることができます。
「事実と解釈を分けて考える」――ふだんこの2つを分けて考えたり、話したりすることはまれでしょう。トラブルシューティングにも、コミュニケーションをとる際にも、そして自分のストレスをコントロールする上でも有効ですので、試してみてください。
株式会社アークコミュニケーションズ 代表取締役。
Communicate Locally, Market Globally
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