「クラウドで何ができるようになるのか」を分かりやすく説明できますか? 提案や企画に説得力を持たせることができていますか? 今回は、提案の説得力を高めるためのコツをご紹介しましょう。
「クラウドコンピューティングを知らない人は手を挙げてください」
講義の折にこんな質問をすると、手を挙げる人は誰もいません。それほど、この言葉は私たちの日常に溶け込んでいます。
ところが、「クラウドコンピューティングとは何かを説明してください」と指名すると、うまく説明できる人はごくわずかです。ましてや「クラウドによって、これまでできなかった何ができるようになるのか」を説明できる人は、さらに限られてしまいます。
「言葉」を知っていることと、その“意味や価値を知っている”こととは大違いです。意味や価値が分からなければ、それを生かすアイデアは生まれません。
“うまく説明できる”となると、ハードルはもっと上がります。それができなければ、あなたの提案や企画に説得力を持たせることはできません。
「知っている」とは、どういうことなのでしょうか。5つのレベルに整理してみました。
はじめて耳にした言葉で、意味は分からないし、想像すらできない。あるいは、なんとなく「あの辺のことをいっている」ようなことは分かるが、本当にそうなのか、確信は持てない。
言葉のつづりや発音、どんなジャンルの用語なのかは知っている。あるいは、どんな文脈で使われるかも想像できる。
仕組みや構成、構造について、論理的に把握している。何に使うのか、誰が使うのか、どのように使うのかを把握している。
これまでできなかった何ができるようになるのか、あるいは、どれほどの効果を生み、ビジネスや社会に影響を及ぼすのかを、合理的かつ客観的に把握している。
「相手が理解できる」ように分かりやすく、上記レベル1〜3について説明できる。
「『知っている』との言葉を使うからには、その言葉に責任を持ってください。自分がどのレベルで知っているのかを自覚して使ってください。仕事で言葉を発すればその責任が求められるのです。安易に『知っている』などと使わないことです」
新入社員研修では、こんな話をすることがあります。彼らにはそんな言葉がスッと染み込んでいくようです。そんな初心を私たちも忘れないようにしたいものです。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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