今度は「PETYA亜種」が猛威 感染対策に効く“情報の追い方”半径300メートルのIT(2/2 ページ)

» 2017年07月04日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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感染を防ぐために知っておきたいこと

 WannaCryでもPETYAも、対策を講じる上で注目したい点があります。それは、「1つの対策で全てが守れた」と過信しないことです。

 どちらの攻撃も、基本的には更新プログラム「MS17-010」を適用することが対策になります。ただし、これはあくまで「基本的には」なのです。もし、そのパッチを適用する以前に、脆弱性攻撃ツール「DoublePulsar」に感染していたら、たとえ脆弱性という穴を塞いでいたとしても、DoublePulsarという「裏口」から感染する恐れがあります。

※初出時に「EternalBlue」という記述がありましたが、正しくは「DoublePulsar」でした。おわびして訂正します。(修正:2017年7月4日 13:23)

 また、PETYA亜種については、“遠隔でプロセスを実行する「PsExec」「WMIC」を利用して認証情報を抽出し、感染させるのに使う”という動きをすることも確認されています。この場合、ネットワーク内で管理者の認証情報を持つPCが1台感染すると、その他のコンピュータも感染してしまいます。

 マイクロソフトは、「ネットワークのセグメント化や最小特権のアカウントなど、このような種類のマルウェア攻撃の影響を制限する技術を実装することを検討してください」としていますが、この対策を講じるのはそう簡単ではありません。

 “脆弱性を突く攻撃への対策”というと、つい、「パッチさえ当てれば大丈夫!」と思い込みがちです。もちろん、これも間違いではありませんが、マルウェアは脆弱性だけを攻撃するわけではありません。パスワードを盗んだり、裏口を作って活用したり、あるいは人の思い込みの裏をかいて攻撃してきます。

 「パッチ最新にして、バックアップを取った上で、さらに『1つの対策を過信しない』」――これが、最善の対策といえるかもしれません。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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