IoTは何を壊し、何を創造するのか 2つの大きなパラダイムシフトを読み解くデジタル改革塾(1/3 ページ)

私たちの仕事やくらしを大きく変えつつあるIoT。このトレンドは、社会にどのような価値をもたらし、IT部門の仕事をどう変えていくのだろうか。

» 2017年09月13日 10時00分 公開
[タンクフルITmedia]
Photo

 クラウド、モバイル、人工知能、IoT、VR……。ITは今、猛烈なスピードで進化しており、さまざまなトレンドが次から次へと現れては消えていく。そのスピード感は、“一昔は1年前、二昔前は3年前”といっても大げさではないほどだ。

 こうした流れは、これまでにない新たなサービスを生み出すと同時に、既存のビジネスモデルを破壊し始めている。その流れがとどまることはなく、いつ、私たちのビジネスに影響し始めてもおかしくない状況だ。こうした変化をピンチとみるか、チャンスと捉えるかで企業の進む道は大きく変わっていくだろう。

 今、起こっているデジタル変革はこれまでと何が違うのか、その背景には何があり、これからどのような変化が起こっていくのか。その変化に私たちはどう対応すればいいのか――。ITmedia エンタープライズ編集部が主催する勉強会「デジタル改革塾」で講師を務めるネットコマースの斎藤昌義氏が、IoTがもたらすビジネスの破壊と創造について語った。

IoTとAI(人工知能)は切っても切れない関係

 IoTと聞くと、多くの人は「モノをインターネットにつなぐこと」、あるいは「センサーでデータを収集すること」をイメージするだろう。

 もちろん、こうした見方は間違っていない。しかし、もっと世の中を俯瞰して“IoTが社会やビジネスにどのような価値をもたらすのか”を考えるなら、まずはIoTと人工知能(AI)が“切っても切れない関係”にあることを理解しておくことが重要だ。

 それを踏まえた上での斎藤氏によるIoTの定義は次の通りだ。

 センサーやデバイスを通じて収集した情報を基に、現実の出来事をデータとして捉え、それらのデータから課題を解決するための最適な方法を“人工知能を使って“見つけ出し、社会やビジネスを動かしていくこと――。

 IoTは技術ではなく、技術を活用したビジネスの仕組み、あるいはビジネスのフレームワークのことである、という見方だ。

 この、“不可分の2つ”は、社会やビジネスの仕組みを大きく変え、世の中に急激な変化をもたらす。それは、「農耕文明が世の中に生まれたくらいの大きなインパクトをわれわれの社会や文明にもたらすといわれている」(斎藤氏)というほどだ。

Photo IoTの仕組み

 実は、この変化の兆しはずいぶん前に始まっている。「モノがインターネットにつながる」という意味では、2009年時点でインターネットにつながるデバイスはすでに25億個もあったからだ。それが今では約200億個に増え、2020年には約500億個に達すると見られている。その時点での世界人口を仮に80億人と考えると、「1人当たり6個以上のデバイスを持ち、それらが持つセンサーの情報がインターネットにつながる状態」(斎藤氏)が日常になり、とてつもなく膨大なデータが生成されることは想像に難くない。

 「例えばiPhone 6には約12個もセンサーが組み込まれている。デバイスには複数のセンサーがあり、それがインターネットにつながれば、世の中に急激な変化を促す力になる」(同)

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ