「IoT元年」と言ってもよいほど、IoTへの注目が高まった年だった2015年。市場動向や様子を見ていた企業も多いと思うが、2016年こそIoTを始めなければ、格差はどんどん開いていくという。その理由は……。
IT業界のみならず、製造業をはじめとするあらゆる業界がその可能性に注目していると言っても過言ではないIoT(Internet of Things)。2015年は「IoT元年」と言ってもよいほど、IoTへの注目が高まった年だったといえる。
「お勉強モードはおしまい。2016年はやると決めるタイミングです」
シスコシステムズの八子知礼氏はこのように話す。2016年こそIoTを始めなければ、格差がどんどん開いていくと話す同氏に、IoTがビジネスに与える影響や、日本における普及のカギを聞いた。
一般的にIoTは「モノのインターネット」と訳されているが、それだけでは足りないという。物理的なモノだけでなく、データや人、業務プロセスなども含む全てがネットワークでつながることで初めて、新たな価値を生み出すためだ。これを八子氏は「モノゴトのインターネット」だと話す。
「さまざまな物事がデータに変換され、それが転送されて別の場所で利用可能になることで、サービスとして使えるようになる。これこそがIoTの本質である“モノのサービス化”です。今後はこの流れが一層進んでいくでしょう」(八子氏)
モノのサービス化が進めば、データが今まで以上に重要になり、ビジネスにおける意思決定はさらにデータに基づいたものになるという。そして、この“データドリブン”を追求しようとすると、データ収集と分析のサイクルを素早く回すことが求められるようになる。これまで四半期ごとにしか把握できなかったようなことも週次、日次……とスパンが短くなり、瞬時に判断が求められるようになる。
IoTはそのスピードをリアルタイムに近づけていくツールともいえる。「IoTは人間の判断すらも必要とせずに、次のアクションが瞬時に決まるような世界をもたらすだろう」というのが八子氏の見立てだ。
現在、IoTといえば製造業における活用が期待されている。特にドイツでは「インダストリー4.0」と呼ぶ、製造業の革新を国を挙げて推進するなど、このチャンスをビジネスに生かそうという機運が高まっている。しかし、八子氏によると「製造業以外の方がIoT導入が進めやすいかもしれない」という。
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