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» 2017年12月08日 08時00分 公開

農業IoTはもうからない!? よろしい、IIJの出番だ (1/2)

「フルMVMO」を掲げるIIJが、文字通り「泥にまみれて」取り組んでいる事業に農業IoTがある。実際に取り組み、明らかになった課題とは何か。

[田中宏昌,ITmedia]

もうからない農業IoTをどのように変えていくのか

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2017年12月5日、IoTに関する事業展開の現状と、農林水産省の公募事業「水田水管理IoT」に関する進ちょく報告会を開催した。

 この水田水管理IoTとは、2017年6月19日に同社が発表した「水田水管理ICT活用コンソーシアムを設立し、 農林水産省の公募事業『革新的技術開発・緊急展開事業」を受託』」のことで、IoTを活用して稲作農家に負担となっている水管理のコストを半減(50%削減)することが目標だ。2019年度(2020年3月31日)まで実証実験や研究を行う予定で、初年度(2017年度)は試作機の開発やフィールド事前調査などが行われ、その模様が届けられた。

photo 「水田水管理ICT活用コンソーシアム」での役割分担

 水田水管理ICT活用コンソーシアムは、同社のほか、静岡県交通基盤部農地局、笑農和(えのわ)、トゥモローズ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構で構成され、農業経営体として静岡県磐田市と袋井市の大規模農家も参加している。とかく手間と負担がかかる「間断水管理」を水田に足を運ばずに済ませたり、生育状況を把握したりするシステムの開発に挑んでいる。

photo 水田作におけるIoT化の可能性
photo 農家に大きな負担となる水田の水管理。生育状況を見極めながら、水田を一枚一枚確認しつつ水の出し入れをする必要がある

 このプロジェクトを推進しているIIJ ネットワーク本部 IoT基盤開発部長 齋藤透氏は、「農業IoTでIIJが何をやっているのかというと、水田センサーの開発とLoRa基地局およびインフラの提供を行っている。課題は、とにかくコストがかかってもうからないことだ。1枚の水田から収穫できるお米の販売価格は平均で10万円ぐらいだが、そこに10万円もするセンサーデバイスを売っているのが現状で、これでは農業でIT活用が進まない」と指摘する。

photo IIJ ネットワーク本部 IoT基盤開発部長 齋藤透氏

 また「農業とITの両方を知っている人材が少なく、エコシステムやオープン化の実例が少ないのも課題だ。今回は公募条件で水田センサーが1万円以下、自動給水弁は4万円以下と定められているので、低価格化が大きな目標になる。同時に、農家のみなさんが使いやすく、メンテナンス性が高いことも求められている」という。

photo 今回開発する水田センサーと自動給水弁のイメージ。10万台〜100万台のオーダーにならないと量産効果は出ないので、そこまでいくのが当面の目標とのこと

 具体的な取り組み内容は、水田に300個のセンサーを配置して水温や水位のデータを集め、用水路のバルブに100個の自動給水弁(笑農和が開発)を取り付け、遠隔操作で水を制御する。この制御に、LPWA(Low Power Wide Area)のLoRaWANを使い、無線免許がいらないLoRa基地局(ゲートウェイ)を設置することで、各センサーから集めた情報をLTE網経由でクラウドに送信する。農家や自治体などは、スマホのアプリなどを使って水位や水温変化の把握、給水弁の開閉指示などがその場で行える。

photo LoRaWANを使ったシステム全体のイメージ

 さらに齋藤氏は「机上の設計だけではなかなか思うように行かず、虫や自然環境の厳しさはまさにやってみないと分からなかった。バルブの形も多種多様で同じ形状はなく、バルブをどこにどれだけ導入したのかといったデータもないので、現地に足を運ばないと把握すらできない状態。Amazonで田んぼの泥を買い、泥水を作って開発に利用した」といった、当事者ならではのエピソードも披露する。

photo LoRaWANとLTEのアンテナを備えたLoRa基地局

 「プロジェクトは、2017年度は機材を開発し、2018年度にそれらを導入、2019年度で量産化に向けた効果検証や地図システムとの連携などを模索するという計画で進行中だ。今回は5件の農家の協力を受け、貴重なデータを得られると考えている。ゲートウェイやデバイス間通信の規格化をはじめとして、できるだけオープン化を目指しているが、IIJ単独ではできず、エコシステムを作るべく日本農業情報システム協会(JAISA)と連携している」(齋藤氏)とし、農業ベンチャーなどを巻き込んで市場を活性化させるべく活動していることをアピールした。

photo 農業のIT化を推進すべく、JAISAと協力してオープンなシステム仕様の策定や標準化を行い、全国普及を目指す
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