ニュース
» 2018年01月26日 07時00分 公開

SaaS型ERP導入に失敗しないための「5つのポイント」:第3回 SaaS型ERPの導入でIT部門の役割はどう変わるのか (1/3)

SaaS型ERPの導入を成功させるには、サービスプロバイダーやユーザー部門に任せきりにするのではなく、IT部門のリードが不可欠です。デジタル時代の進展がもたらす新たな課題を考察しつつ、IT部門に求められる役割について解説します。

[関根岳之/KPMGコンサルティング, 廣田伸明/KPMGコンサルティング,ITmedia]

 マルチテナント方式と呼ばれるSaaS型ERPの導入では、設計の自由度に制約があるため、ユーザー部門による業務をシステムに合わせるための検討が中心となります。

 手戻りのリスクを回避するには、導入を開始する前に業務改革の実現可能性を詳細に評価し、導入時に業務部門の改革を断行する必要があり、従来にも増してユーザー部門の主体的な関与が求められます。

 一方で、SaaS型ERPのシステム環境は全てサービスプロバイダーから提供されるため、従来はIT部門が担当していたサーバの調達やハードウェア、ソフトウェアの保守などに関する作業が不要になります。代わりに、自社にとって最適なサービスや技術をユーザーが選定できるよう支援することや、マイクロサービス、レガシーシステムなどのさまざまな技術やサービスをシームレスに連携させて効果を引き出すことが求められるようになることから、IT部門の役割は大きく変わってきます。

 そこで本稿では、IT部門に着目し、デジタル化の進展に伴い、IT部門が置かれている状況を考察した上で、SaaS型ERPの導入でIT部門に求められる新しい役割について解説します。

デジタル時代にIT部門が置かれている状況

 近年の急激なテクノロジーの発展と社会への浸透に伴って、経験が少なく、専門性の高いサービスが次々と各企業内に導入されはじめていることから、テクノロジーを所管するIT部門はいくつかの悩ましい状況(図1参照)に置かれています。

Photo 図1 外部環境の変化がもたらす、デジタル時代の新しい課題(出典:KPMGコンサルティング)

 これまでは、既知の技術の採用や自社に応じた製品への絞り込みを行うことで、自社システムの一貫性を維持してきました。しかし、デジタルディスラプション以降、持続的な競争優位性の維持や事業存続の観点から、次々に登場するさまざまな技術・サービスに追従せざるを得ない状況になっています。

 このような新しい技術・サービスの早期適用やデジタル化を推進することの副作用として、SaaS型ERPなどのクラウドサービスを含む多様な技術、サービスが社内に乱立することとなり、適切なシステムの保守運用が難しくなっています。

 また、把握すべき技術・サービスのバリエーションの増加と合わせて、これらの一つひとつを使いこなすための極めて高い専門性が必要となっています。個々のシステムの安定運用だけでも簡単ではない中、これらの複数の技術をシームレスに連動させることは極めて難しいため、SaaS型ERPをはじめとして多様な技術・サービスをどのように組み合わせて有効活用するかも課題となっています。

 さらに、それぞれの技術・サービスの専門性の高さから、SaaS型ERP、AI、センサー、データアナリティクスといった領域ごとの専門的なベンダーとの協業が不可欠となります。ベンダー管理はシステムのスムーズな導入や安定運用と表裏一体であり、IT部門にとってはマルチベンダーを前提とした運用体制の構築が急務であるといえます。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -