「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
インタビュー
» 2018年06月11日 08時00分 公開

【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜:データの前に「人」をつなげよ――ホンダのDXを進める“データコンシェルジュ”の流儀 (1/3)

自動車のスマート化により、ユーザーニーズが激変している今、業界全体でデータ活用の重要性が高まってきている。本田技術研究所で進む「ビッグデータプロジェクト」のメンバーである中川さんは、データと同時に、人をつなぐプロフェッショナルでもあった。

[池田憲弘,ITmedia]

 人間の移動手段として進化してきたクルマは、昨今、IT機器として大きな進化を遂げている。自動運転に代表されるように、車内に配置されたさまざまなセンサーのデータが連携することによる“スマート化”が進んでいるのだ。

 「自動車産業は100年の一度の大変革期に直面している」。こう話すのは、本田技術研究所(以下、ホンダ)の主任研究員である中川京香さんだ。

 「従来のわれわれのビジネスモデルは、良質な自動車を開発、製造して販売店に届け、お客さまに買ってもらうというものでした。それが5年ほど前から、購入後の自動車の使われ方についても、われわれへの期待が徐々に大きくなっていったのです」(中川さん)

 自動ブレーキや駐車支援といった機能は標準になりつつあり、最近では故障予測サービスなども出てきている。販売後もサービスを通じて顧客とつながり、価値を提供し続ける――。こうした“体験”の部分が自動車の差別化ポイントになったという。

photo ユーザーが自動車に求めるニーズが劇的に変わってきているという

ユーザーがどのようにクルマを使っているのか「分からない」

photo 本田技術研究所 四輪R&Dセンター 開発プロセス改革室 主任研究員の中川京香さん。日本テラデータの年次イベント「TERADATA UNIVERSE 2018」で講演を行った

 こうしたデジタル技術の進歩は、自動車開発の基本的な考え方にも変化をもたらした。これまではファミリー向け、独身女性といった、あらかじめ想定したライフスタイルに合わせて自動車を開発してきたが、今はユーザーごとにパーソナライズされた自動車が求められるようになっている。

 クルマ作りのエンジニアたちも、時代に合わせて開発指針を変える必要が出てきたが、そこで“データ”という大きな壁が立ちはだかった。パーソナライズを目指そうにも、各ユーザーがどのようにクルマを使っているのかが「分からない」のだ。

 というのも、これまでホンダが集めてきた顧客データは、自動車の販売データを中心としてきたものだった。カーシェアリングなど、今やクルマを買う人と乗る人が一致しなくなりつつある今、データの取得方法から分析まで、その全てを変えなくてはならない。

 こうして「ビッグデータプロジェクト」を立ち上げたホンダ。中川さんもプロジェクト開始時から参加していたが、当時の中川さんはデータ分析の専門家でも何でもない、むしろ「雑用というか、どのように呼んだらいいのか分からないような仕事」(中川さん)をずっと続けていたのだという。そんな中川さんは、なぜこのプロジェクトに召集されたのだろうか。

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