NoOpsとは運用をなくすことではなく、運用の「うれしくない」ことをなくすこと――。都内で開かれた「NoOps Meetup Tokyo」で行われたセッション「15分で分かるNoOps」をダイジェストで紹介します。
この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「NoOpsを実現できる時が来た。「NoOps」とは運用の“嬉しくない”ことをなくすこと。NoOps Meetup Tokyo #1」を許可を得た上で転載、編集しています。
2018年9月12日に都内で「NoOps Meetup Tokyo」の第1回が開催されました。
「NoOps」とは、運用そのものをなくしてしまう“No Ops”ではなく、運用のうれしくないことをなくす「No "Uncomfortable" Ops」だと、NoOps Japan発起人の岡大勝氏は説明します。
それでは、NoOpsの具体的な意義と、それをどのように実現するのかを説明した岡氏のセッション「15分で分かるNoOps」をダイジェストで紹介しましょう。
今日お伝えしたいことは3つです。「NoOpsの目指すもの」「なぜいまNoOpsなのか」「NoOpsのつくりかた」。NoOpsとは「No Uncomfortable Ops」――つまり、システム運用のうれしくないことをなくそう、という意味です。
このうれしくないこととは、主に3つ挙げられます。1つ目は、ユーザーの体験を妨げるようなこと。例えば、障害時のダウン、計画停止、負荷集中時の性能低下などは、ユーザーの体験を妨げます。
2つ目は運用保守の現場での「トイル」です。トイルとは、リリースの手続きやパッチの適用など、人間がやるべきでないような作業、これを最小化しましょうということです。
3つ目はシステム運用保守におけるリソースとコストです。これは忘れられがちですが、実は1つ目や2つ目はサーバリソースにお金をかけたり、ヒューマンリソースを豊富に投入したりすれば問題にならないかもしれません。そうではなく、リソースやコストの最適化をしましょうという話です。
こうした姿を目指し、NoOpsのためにOpsを改善しようとすると、ジレンマが立ちはだかります。利用者の体験を向上させようとして、24時間365日運用、負荷が集中しても安定して稼働するような形で可用性も高めようとすると、運用の現場の負担は増し、コストもかかるでしょう。
一方、運用現場の負担を軽減しようとして、仮に待機人員をなくせばサービスが落ちた際に対応できなくなり、サービスの低下につながります。また、現場の負担を軽減するための設備投資やツールの導入、アウトソースの採用などはコストがかかります。
サービスのオーナーという立場から、コストを削減しようとすると、サービスの低下や運用の現場の負担増につながります。こうして「結局、何をやってもあまり効果が出ない」というループになり、これまで同じようなやり方で運用の現場を何年も回してきたんじゃないかと思います。
しかし、今なら全てが同時に改善できるという時が来たと思っています。
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