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» 2018年12月05日 10時00分 公開

Google対Microsoft(後編):G Suiteの出現がMicrosoft Officeを変えた

G Suiteの出現はどのような意味を持つのだろうか。Microsoft Officeの覇権は崩れたのか。ITインフラアーキテクトのバンデルズワン氏は、Microsoft Officeに表れたある変化を指摘した。

[Ben Sillitoe,Computer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 11月21日号掲載)では、Googleの強み、そしてGoogleがMicrosoftからシェアを奪った事例を紹介した。

 後編では、Microsoftが勝利した事例、複数ベンダーの製品を導入している事例、そしてGoogleの市場価値を紹介する。

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Microsoftの勝利

 小売業者Specsaversは2017年、Google製品に移行していた電子メール、コミュニケーション、コラボレーションソフトウェアをMicrosoft製品に戻した。

 Specsaversで以前グローバル最高情報責任者(CIO)を務めていたフィル・パビット氏によると、2014年に同氏がSpecsaversに加わった当時、同社の国際事業はGoogleドキュメントとGmailを利用していたという。同氏の任務は、核となるシステムとインフラを含む広範囲に及ぶIT変革の指揮を執ることだった。この動きの中でGoogle製品を廃止し、Microsoft Officeに戻したのは偶然だった。

 「SpecsaversはMicrosoft Officeではなく、『Googleスプレッドシート』などを企業全体で比較的順調に利用していた。『Word』と『PowerPoint』のインポートでは頻繁に問題に直面したが、Googleが国際事業における既定の選択肢だった」とパビット氏は言う。

 「プロジェクトのあらゆる部分の規模が非常に大きかったため、取捨選択を行うのは仕事ではなかった。だが当社は『Microsoft Dynamics』や『Microsoft Dynamics CRM』など他のMicrosoft製品を購入していた。そこで、Microsoft製品に完全に統合するメリットを考え始めた」(パビット氏)

 同氏の率いるチームが電話会議などのコミュニケーションツールに支払っている費用を調べたところ、Google製品よりもMicrosoftのライセンスが同社のニーズにマッチしていることが明らかになった。少なくともSpecsaversにとっては、Microsoft製品の方が安価であると分かったとパビット氏は話す。

 「Google製品の操作性はスムーズではなく、セキュリティチームは非常に神経質になっていた」(パビット氏)

 G Suiteのユーザーは、従来型の小売企業からデジタルを中核とする企業まで幅広い。しかし、アナリストのケペッシュ氏は次のように話す。「Googleは主な関心やユースケースが機械学習とAIである企業を得意とするようだ」

 「だが、クラウド市場は急成長しており、ほとんどの企業が将来さまざまなパブリッククラウドベンダーを活用するだろう」

混在させる

 Morrisonsでは全スタッフがG Suiteツールを利用している。Microsoft製品がMorrisonsのバックオフィスをサポートしていた3年前から文化が大きく変わったことになる。

 だが核となる財務スプレッドシートの一部は「Excel」で作成されている。またバージェス氏は少数の従業員が「Outlook」を手放すのを断固として拒んだことも認めている。とはいえ、Morrisonsは基本的にMicrosoftよりもGoogleを選んだ。

 対照的に英国の小売業者Marks & Spencerは、最近Microsoftに傾倒している。MicrosoftとGoogleは優れた製品を提供するため、互いに刺激し合っている。大規模小売企業はクラウドプラットフォームへの要件と企業のビジョンに沿ってどちらかを選ぶ傾向がある。

 エンタープライズソフトウェア市場におけるMicrosoft Officeの優位性は、G Suiteによる顧客獲得の影響をまだほとんど受けていないが、少なくとも競争は生まれている。

 小売企業が大手ソフトウェアサプライヤーを組み合わせている例もある。

 世界的な美容ブランドRitualsは、店舗とバックオフィスに「iPad」と「iPod」を大規模に導入している。Office 365が「macOS」や「iOS」もサポートするようになったことから、同社は複数サプライヤーのソフトウェアが混在するハイブリッド環境を運用している。

 「当社はAppleのハードウェアを利用していて、ハードウェアの管理はApple製品管理の専門ベンダーJamfが行っている。Jamfのサービスには端末へのアプリケーション導入、セキュリティの調整も含まれる」とRitualsでITインフラアーキテクトを務めるヨースト・バンデルズワン氏は言う。

 「当社はメールプラットフォームにOffice 365を利用しているが、企業としては『ベストオブブリード方式』を採用している。Office 365は当社でうまく機能しているが、以前はGoogleの電子メールも利用していた。当社はOffice 365の方が優れたソリューションであると判断して同サービスを選んだが、依然として多くのGoogle製品も利用している」(バンデルズワン氏)

巨大なデータレイク

 Office 365をコアパッケージに選んだものの、バンデルズワン氏によると全ての小売り経営情報が保管されている「巨大なデータレイク」はGoogleのプラットフォームに存在するという。

 「市場にはMicrosoft OfficeとG Suiteの両方に適した分野がある」とパビット氏は言う。同氏は現在、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)からブロックチェーンまで、さまざまな分野のスタートアップ企業を支援している。また非常勤役員として大企業にITインフラに関する助言を行っている。

 「Microsoft製品は非常に高価で、機能が限定されており、最も統合が進んだソリューションとはいえなかった。だが今や『Outlook』で3つのボタンをクリックするだけで連絡先と『Skype』を見つけることができる。これは統合機能が強化されたことを示している」と同氏は言う。

 「4〜5年前、誰もがGoogleサービスの導入を検討していた。当時、GoogleサービスはMicrosoftサービスよりも最先端だと考えられ、価格もほとんどが無料だったからだ。Microsoftは間違いなくGoogleの動向に目を向けている。GoogleはMicrosoftを動揺させたに違いない」(パビット氏)

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