複数の事業者のCRMサービスを「束ねる」トクトクポケットは、ユーザー側のメリットも大きい。おサイフケータイ対応アプリは、これまでも独自のものが複数存在したが、ユーザーはそれらを1つ1つダウンロードし、初期設定する必要があった。しかし、トクトクポケットはユーザーから見れば「ひとつのアプリ」である。
「トクトクポケットのアプリを起動すれば、利用可能な事業者サービスが見られます。ポイントやクーポン情報もそこからすぐ分かりますから、利便性は高い。(おサイフケータイ内蔵の)電子マネーと同時に使えるので、おサイフケータイで支払えば自動的にポイントやスタンプがたまる。このあたりもユーザーが使いやすいポイントです」(村上氏)
また、トクトクポケットは異なる事業者をまたがる「共通プラットフォーム」という一面があるため、トクトクポケットの採用企業同士でクーポンの交換もできる。例えば、「コンビニとレンタルビデオ店でクーポン券を共有するといった使い方」(田辺氏)も可能になる。他にも、アミューズメント施設を利用すると近くの飲食店の割引がもらえる、異業種でポイントカードの相互利用を実現するといった応用例が考えられる。
この連携処理はトクトクポケットのサーバを通じて行われるため、紙のクーポン券やポイントカードを使う場合のように、準備・運営コストやオペレーションの負担増を心配する必要はない。顧客の視点で、人を軸にしたバリューチェーンが構築できるのだ。
トクトクポケットの導入は利用事業者のシステム・ニーズに合わせて行われるため、その規模によって導入や維持コストは変わる。NECではトクトクポケットのサービスをASP提供しており、基本パッケージでは月額50万円から始められるという。
導入企業の規模としては、複数の店舗を持つチェーン店を想定しているが、個人商店の場合でも「商店街全体で導入していただくなどすれば、参加は可能です。ある程度の店舗数が集まれば(バリューチェーンの)導入側のメリットも出やすいですから」(田辺氏)としている。
トクトクポケットは、導入に伴う企業の負担を減らすだけでなく、おサイフケータイ対応に伴うCRMや顧客サービス上のメリットも、先進的で十分なものが得られる。NEC自身が携帯電話メーカーでもあるため、おサイフケータイの潜在力を知りつくし、今後の新サービス対応の迅速さにも期待できる。来るべき「おサイフケータイ時代」に対応する最良のツールと言えるだろう。
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提供:日本電気株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年10月31日
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