英Vodafone(以下、Vodafone)の現状とこれからを探る本企画。第1回では、同社のグローバル戦略と重要性が高まりつつある新興市場を概観した(8月2日の記事参照)。第2回では、成熟市場における同社の課題を見ていこう。
Vodafoneの新興市場への相次ぐ進出は、成熟市場の苦境から逃れようとするかのようにも見えるが、同社のメインの市場はあくまで売り上げの8割を占める西欧州市場だ。ただ、売上高の成長率で見ると、新興市場(EMAPA)が13.9%であるのに対し、西欧州市場は1.3%にとどまっている(VodafoneのIRデータより)。
携帯電話による音声通話やテキストメッセージの利用が普及した成熟市場でユーザーは、オペレーター(キャリア)を選ぶにあたり、価格やサービス、ブランドを重視する傾向がある。
価格面では、安価な通話サービスを売りにするMVNO(用語参照)が欧州に進出している。回線をオペレーターから借り受ける事業形態のMVNOは(2006年3月の記事参照)、異業種からの参入も容易で、若者層にアピールするサービスで成功した英Virgin Mobile(5月31日の記事参照)を筆頭に、ブランド面で優位に立つものも多い。こうした勢力に勝つためにVodafoneは、ポータルサービスやブランド力を強く打ち出す必要がある。
5月末にVodafoneが発表した業績報告書を見ると、本拠地英国の売上高やARPU(加入者1人あたりの月間売上高)が減っているのが分かる。英国市場は、MVNOやFMC(fixed mobile convergence:固定網と無線網の融合)などさまざまな面で競争が激化しており、ここでの不調はVodafoneの課題をそのまま表している。同社は西欧市場では英国、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国の業績を発表しているが、売上高が伸び悩む傾向は、番号ポータビリティの恩恵を受けて売り上げ22%増を達成したスペインを除いて、どこも同じだ。
2005年6月末 | 2005年9月末 | 2005年12月末 | 2006年3月末 | 2006年6月末 | |
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ドイツ | 24.3 | 24.4 | 22.9 | 21.5 | 22.1 |
イタリア | 30.4 | 29.9 | 27.7 | 26.4 | 27.6 |
スペイン | 36.2 | 37.7 | 35.3 | 33.3 | 35.3 |
英国 | 24.6 | 25.1 | 23.8 | 22.7 | 23.7 |
「Vodafone live!」は、NTTドコモのiモードを意識して約4年前にスタートしたポータルサービスだが、ドコモのように深いレベルで端末メーカーと密接に協業できておらず、ユーザビリティの面で劣る感は否めない。
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