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» 2006年03月16日 00時17分 公開

「特定の分野に特化したサービスがMVNO成功の鍵になる」──Openwave上級副社長

世界のMVNO市場における豊富な成功事例とノウハウを持つ米Openwave Systemsの上級副社長、マーティン・ダンズビー氏に、日本でのMVNOについて聞いた。

[園部修,ITmedia]

 米Openwave Systemsの日本法人、日本オープンウェーブシステムズは、従来から手がけてきたOpenwave Systems製ソフトウェアのローカライズや独自アプリケーションソフトの開発に加え、国内のMVNOを対象にした支援事業を開始する(3月15日の記事参照)

 日本市場では、既存事業者が非常に高性能なネットワークと端末を提供していることもあって、日本におけるMVNOは欧米のような音声通話が中心のサービスではなく、データ通信に関連するサービスが中心になると目される。そのため、「日本型のMVNO」という独自のビジネスモデルが模索されている(2005年12月26日の記事参照)。日本ではMVNO自体の成功例がまだあまり多くない点も、MVNOに参入しようと考えている事業者が二の足を踏む理由になっているようだ。日本オープンウェーブシステムズは、そのような事業者に向け、初期のコンサルティングから機器の選定、アプリケーションの提供、課金などの運用・保守に至るまで、MVNOのニーズに合わせ広範なサービスを提供しようとしている。

 日本市場でのMVNOを成功に導くには何が必要なのか、米Openwave Systemsの上席副社長マーティン・ダンズビー氏と、日本オープンウェーブシステムズMVNO事業企画部の伊藤みどり氏に話を聞いた。

Photo 左が米Openwave Systemsグローバルサービス上級副社長兼ジェネラル・マネージャーのマーティン・ダンズビー氏、右が日本オープンウェーブシステムズグローバルサービス本部MVNO事業企画部マネージャーの伊藤みどり氏

MVNOでは差別化を図ることが重要

 ダンズビー氏は「MVNO事業を成功させるには、既存の携帯電話事業者とどこまで差別化できるかが重要」と話す。既存の事業者に対抗するようなサービスは想定していないという。

 差別化のポイントとしては、「ターゲットとする市場」「サービスの種類やコンテンツ」「利用する端末」「サービスを提供するプラットフォーム」の4つを挙げた。このうちどれか1つでもうまく差別化できれば、ユーザーを獲得し、サービスとして成功し得ると考えている。

 米Virgin MobileがMVNOとして成功したのは、「十代から二十代の若者を主なターゲットに据え、そのターゲットに集中してリッチコンテンツを投入し、高い支持を獲得できたから」だとダンズビー氏。ビジネスに携帯電話を使うユーザーには全くアピールしない、ある意味ニッチなサービスでも、顧客区分に合わせたブランディングやサービスを提供することで事業として成り立つという。

 日本市場の場合も同じで、「特定のユーザーに向けたニッチなサービスにこそチャンスがある」と伊藤氏はいう。「特に企業と顧客との間に独自の関係があれば、それを元にMVNOビジネスを展開できる可能性は十分ある」

 例えば建設業界や工場などでの利用に特化した、丈夫でボタンが大きく、大きな音量で再生できるスピーカーを備えた端末を、建機メーカーがMVNOとして顧客に販売するような事例も考え得る。

 また、伊藤氏は「ブランドを利用したサービスには高い可能性がある」と考えている。特定のブランドには、特定の物事に興味や関心を持った人が集まる傾向があり、ターゲットユーザーを絞り込めるという利点がある。顧客として集まったユーザーの属性は、比較的似たものになる可能性が高く、そのようなユーザーに向けて高品質なサービスを提供すれば、高い満足度が得られるというわけだ。「日本にはユーザーから高い支持を得ているブランドが多数ある。それらを活用したサービスを提供する計画があるなら、ぜひお手伝いしたい」(ダンズビー氏)

 極端な例としては、音声通話機能を持たず、2台目の端末として購入してもらえるような製品やサービスを提供することも検討に値するという。ゲーム機を端末として、ゲームをダウンロード販売するだけのサービスや、いつでも好きな音楽をダウンロードして再生できるオーディオプレーヤーのようなサービスなど、既存の事業者とは競合しない事業も実現可能だ。

日本でもMVNOが15%程度までシェアをとることは可能

 米Openwave Systemsは、米国のMVNO支援市場では85%のシェアを握る最大手企業だ。同社の持つノウハウや成功事例は数多い。「以前からMVNO支援の要請が何件かあり、日本市場でもサービスを立ち上げることにした。今までの経験を生かせると思う」とダンズビー氏は話す。世界の携帯電話市場の中で、MVNOが提供しているサービスは5〜15%のシェアを占めているというが、日本でもMVNOが同程度(最大15%程度)のシェアを取ることは不可能ではないという。

「ドコモやKDDIといった既存の事業者は、幅広いユーザーに向けたくさんのサービスと機能を提供しているが、それらは必ずしもすべてのユーザーが望んでいるものではない。MVNOが徹底してカスタマイズした端末や、充実したサービスを提供できれば、多くの顧客を獲得できるのではないか。我々はそれを支援する万全の体制を用意している」(ダンズビー氏)

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