米Orbic、日本市場から事実上の撤退か オービックとの商標訴訟に敗訴、日本法人から情報発信なし【更新】(1/2 ページ)

» 2026年02月22日 06時00分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]

 とあるメーカーの動きがぱったりと止まってしまった。2023年6月に日本市場に参入を果たした「Orbic(オルビック)」だ。Orbicは、米国の携帯電話やタブレットのメーカーとして、大きな期待を背負って日本へ上陸したはずだった。

 2006年にニューヨークで創業した同社は、米通信大手のVerizonにおいてSamsung ElectronicsやApple、Motorolaに次ぐ4番目のラインアップ数を誇る実力派メーカーだ。世界各地に拠点を持ち、米国以外でもオーストラリアやインドなどで展開を加速させてきた同社が、満を持して日本法人として「Japan Orbic」を設立し、国内市場へ参入を果たした。

 参入当初の勢いは目覚ましかった。2023年6月1日、日本市場への進出発表と同時に、スマートフォン「Fun+ 4G」やタブレットの「TAB8 4G」「TAB10R 4G」、ワイヤレスイヤフォンの「Orbic Ear Buds」といった多彩な製品を投入した。翌2024年7月26日には、国内の根強い需要に応える形でフィーチャーフォンの「Orbic JOURNEY Pro 4G」を発売した。

オービック Orbic 2023年6月1日、日本市場への進出を発表したOrbic
オービック Orbic 同日、スマートフォン初心者をターゲットとした「Fun+ 4G」やタブレット「TAB8 4G」などの投入も発表した

 しかし、参入後の活躍の裏では、ブランドの存続を揺るがす重大な事態が進行していた。

Orbicのビジネスが止まった背景 突如途絶えた日本法人の発信

 Orbicのビジネスが止まった原因は、日本国内で長年システムインテグレーション事業を展開してきた「オービック」による訴訟だった。オービックは、自社が1968年の設立以来築き上げてきたオービック(OBIC)という名称が、日本国内で著名な商品等表示であると主張した。

 オービックは、1979年からテレビコマーシャルを放映し、阪神甲子園球場や東京ドームといった大規模施設への広告掲出、さらには2500回を超える新聞広告を通じて、そのブランドを全国的なものとしていた。これに対し、Japan Orbicという名称やOrbicという標章の使用は、消費者に混同を生じさせる不正競争行為にあたるとして、オービック側が差し止めを求めて提訴した。

オービック Orbic オービックは、会計を軸とした統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」に磨きをかけてきた企業。特定メーカーに属さない立場で、コンサルから運用までワンストップで提供し、経営の全体最適化を実現する(出典:オービック公式サイト)

 東京地方裁判所にて争われたこの裁判の焦点は、両者の名称が類似しているか、そして消費者が混同する恐れがあるかという点だった。裁判所は、Orbicのつづりが英語読みで一般的にオービックという称呼を生じさせることを認めた。たとえ被告側がオルビックという呼称を主張したとしても、その差異は極めて小さく、聴取者が混同する可能性は高いと判断された。

 また、オービックが提供する企業向けシステムと、Orbicが展開するスマートフォンなどの端末は、技術的および経済的な関連性が深く、需要者層も重なることが指摘された。

オービック Orbic オービックが名称の類似による混同を理由に、Orbicに対し不正競争行為の差し止めを求めた訴訟。地裁では呼称の類似性や事業の関連性が争われ、裁判所は消費者が混同する恐れが高いと判断した
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月06日 更新
  1. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  2. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  3. KDDIのローミング縮小でも「やめる理由にはならない」 楽天モバイルユーザー4人が語る本音と“経済圏”の囲い込み (2026年10月05日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  6. JALモバイルはなぜIIJに加え「ahamo」を選んだのか? JALとドコモが明かす“ホワイトレーベル”の狙い (2026年10月05日)
  7. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  8. 注目点は“可変絞り”だけじゃない! 「iPhone 18 Pro」のカメラは思った以上に変わっている (2026年10月05日)
  9. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  10. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー