とあるメーカーの動きがぱったりと止まってしまった。2023年6月に日本市場に参入を果たした「Orbic(オルビック)」だ。Orbicは、米国の携帯電話やタブレットのメーカーとして、大きな期待を背負って日本へ上陸したはずだった。
2006年にニューヨークで創業した同社は、米通信大手のVerizonにおいてSamsung ElectronicsやApple、Motorolaに次ぐ4番目のラインアップ数を誇る実力派メーカーだ。世界各地に拠点を持ち、米国以外でもオーストラリアやインドなどで展開を加速させてきた同社が、満を持して日本法人として「Japan Orbic」を設立し、国内市場へ参入を果たした。
参入当初の勢いは目覚ましかった。2023年6月1日、日本市場への進出発表と同時に、スマートフォン「Fun+ 4G」やタブレットの「TAB8 4G」「TAB10R 4G」、ワイヤレスイヤフォンの「Orbic Ear Buds」といった多彩な製品を投入した。翌2024年7月26日には、国内の根強い需要に応える形でフィーチャーフォンの「Orbic JOURNEY Pro 4G」を発売した。
しかし、参入後の活躍の裏では、ブランドの存続を揺るがす重大な事態が進行していた。
Orbicのビジネスが止まった原因は、日本国内で長年システムインテグレーション事業を展開してきた「オービック」による訴訟だった。オービックは、自社が1968年の設立以来築き上げてきたオービック(OBIC)という名称が、日本国内で著名な商品等表示であると主張した。
オービックは、1979年からテレビコマーシャルを放映し、阪神甲子園球場や東京ドームといった大規模施設への広告掲出、さらには2500回を超える新聞広告を通じて、そのブランドを全国的なものとしていた。これに対し、Japan Orbicという名称やOrbicという標章の使用は、消費者に混同を生じさせる不正競争行為にあたるとして、オービック側が差し止めを求めて提訴した。
オービックは、会計を軸とした統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」に磨きをかけてきた企業。特定メーカーに属さない立場で、コンサルから運用までワンストップで提供し、経営の全体最適化を実現する(出典:オービック公式サイト)東京地方裁判所にて争われたこの裁判の焦点は、両者の名称が類似しているか、そして消費者が混同する恐れがあるかという点だった。裁判所は、Orbicのつづりが英語読みで一般的にオービックという称呼を生じさせることを認めた。たとえ被告側がオルビックという呼称を主張したとしても、その差異は極めて小さく、聴取者が混同する可能性は高いと判断された。
また、オービックが提供する企業向けシステムと、Orbicが展開するスマートフォンなどの端末は、技術的および経済的な関連性が深く、需要者層も重なることが指摘された。
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