2023年6月に日本市場への参入を表明した新興スマートフォンメーカーの米Orbic(オルビック)は、発売を予告していた4Gスマートフォン「Orbic FUN+ 4G」の発売が遅れるなど、順風満帆なスタートとはならなかった。しかし、参入から2年目を迎える2024年は、大きなチャレンジを計画しているようだ。
2024年2月26日〜29日にスペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024」では、日本法人Japan Orbicのダニー・アダモポウロス社長が登壇し、Orbicのこれまでの実績と今後の展開を説明した。
2024年の取り組みを説明する中で明らかになったのが、同社スマホの製造拠点に日本が加わることだ。製造を行うのは兵庫県加東市にある「Japan E.M. Solutions」(以下、JEMS)という拠点で、もともとは富士通の工場としてスタートし、2023年までFCNT製のスマホも製造していた。まずは今夏から米国向け製品の製造を始めるという。
日本で製造することを提言したのは、Japan Orbicの島田日登美氏(ビジネス・ディベロップメント・マネージャー)だ。「日本で物づくりをしたいという気持ちはずっとあり、Orbicが新しい製造拠点を探している時期と重なった。円安ということもあり、価格競争力の面でも問題はなかった」という。
島田氏は「まずは米国で日本製の品質を評価していただいて、その後、日本国内に出荷する製品も製造したい」と話す。
続いて、2024年に日本で発売する新製品として「JOURNEY Pro 4G」が発表された。KaiOS(LinuxベースのOS)を採用した4Gフィーチャーフォンで、「Google マップ」「YouTube」「Gmail」などのアプリをプリインストールしている。アダモポウロス社長は、この製品を「スマートフィーチャーフォン」と呼ぶ。日本風には「ガラホ」「ガラスマ」と言ったところだろう。具体的な発売時期や価格は未定だ。
現地ではJOURNEY Pro 4Gの試作品が展示されていた。折りたたみ式で、閉じた状態では1.77型のサブディスプレイで時刻や通知が見られる。開くと3.2型のディスプレイが現れ、物理式ダイヤルキーパッドで操作できる。1850mAhのバッテリーを搭載し、Wi-FiやBluetooth、microSDメモリーカードにも対応している。
島田氏によると、メインタートゲットは「通話がメインの人」だが、スマホではなく、あえてシンプルなケータイを使いたいと考える人も狙っているという。
「米国では、通話とメールしかできない “dumb phone” を使う人が増えている。実際にJOURNEYの前モデルも米国ではよく売れた。日本でも同じような需要があると考えている」(島田氏)
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