テストマーケティング(てすとまーけてぃんぐ)情報システム用語事典

test marketing / テストマーケティング

» 2005年03月16日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 新商品の本格的な市場導入に先立ち、地域や期間を限定して試験的に実市場で販売やプロモーションを行い、その反応を調査・検証するマーケティング活動のこと。

 本来的なテストマーケティングは、“地域限定”といっても都市や県、地域エリアなどの範囲(規模)で実施され、全国展開時と同様のマーケティングプログラムに沿って行われる。その地域の人々にとっては“販売開始”であり、単に「試しに売ってみる」というものではない。

 テストマーケティングは、食品や日用品で行われることが多い。例えば、ある菓子メーカーでは、関東圏で発売予定の商品は静岡県でテスト・マーケティングを行い、そこでの反応を見ながら広告戦略を練る。また、秋以降に新商品が出るチョコレートは、夏場に北海道の市場に投入し、その反応を見ている。実施エリアが静岡県である理由は、東京から近く関東圏とし好が近いためで、北海道は夏も涼しく、チョコレートのように溶けやすい商品でも通年で置くことができるからだ。

 テストマーケティングは詳細な実施計画に基づいて行われ、商品性(機能性、デザイン、ネーミング、価格など)、流通チャネル(販売ルート、ストアカバレッジなど)、宣伝広告・プロモーション(広告メディア、訴求ポイントなど)などに対する顧客のブランド認知、初期購入、リピート購入や広告リーチ、プロモーション活動への応募・参加などを調査・測定する。また、複数の店舗でそれぞれ販売方法や陳列方法、価格などを変えて設定し、販売数量や客数・客層などの差異を検証するといった実験的なことを行う場合もある。

 こうして得たデータを分析して、エリアを広げての発売のためにパッケージデザインや価格政策、プロモーションプランなどに修正を加える。場合によっては、商品仕様や生産・販売計画まで見直しになるケースもある。これにより、マス・マーケティングという大きなリスクを低減し、ブレの少ない発売計画を立てることができる。

 従来、テストマーケティングの欠点として、競合企業に自社の新商品の内容を知られてしまい、長期に実施した場合(リピート購入のパターンなどが分かるというメリットがある)、競合製品を開発する時間を与えるといった点が挙げられていた。

 しかし近年、テストマーケティングは実施エリアやテストそのものの規模が非常に大きくなってきており、全国販売時のマーケティングと連動しているケースも少なくない。ITソリューションの進展で、通常の販売・マーケティング活動のフェイズに入っても、従来のテストマーケティングの測定項目を収集し続けることができるようになったということもあり、テストマーケティングも商品販売前の事前テストではなく、広義のマーケティング活動の1フェイズであると見なすことができるようになってきている。

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