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» 2005年09月07日 12時00分 UPDATE

システム部門Q&A(25):素人CIOとの上手な付き合い方とは? (1/2)

多くの企業では、役員人事のたびにCIO(Chief Information Officer)が代わるため、一貫性のあるシステム改革などが行えないという。このような腰掛けCIOとはどのように付き合っていけばよいのか? 今回は素人CIOが多い理由や、なぜ素人CIOでは困るのかといった問題をブラックユーモアあふれる反面教師的な内容で紹介する。

[木暮 仁,@IT]

質問

役員人事のたびにコロコロ代わる素人CIOとは、どのように接すればよいのでしょうか?

私は中堅製造業IT部門の管理職です。当社では、役員人事のたびにCIO(Chief Information Officer)が代わり、御前講義をしてある程度理解してもらえるようになると、新しいCIOに代わるような状態です。しかも、CIOはITにあまり関心がなく、適切な指示はあまりない状況です。このような場合、CIOとどのように付き合っていけばよいのでしょうか。


意見

 貴社のような状況は、むしろ多数派です。一部の優れたCIOを除けば、ほとんどのCIOは素人CIOなのです。今回は、素人CIOが多い理由や、なぜ素人CIOでは困るのかといった問題をホンネで考えます。かなり偽悪的な内容になっていますが、ご容赦ください。



素人CIOでは困る!

 以下は、かなり敗北主義的な意見ですが、ホンネで考えたものです。

 役員人事は多分にパワーバランスに支配されます。営業部門、経理部門、技術部門などは、それらの専門的知識を持つ役員が担当することが多いのですが、そもそもITの知識を持つ役員がいないのですから、IT部門は誰が担当しても同じだということで、担当部門の数や人数が少ない役員に「そのほかの付録」として担当させることがあります。付録なのですから、役員人事のたびに担当する役員が代わるのはむしろ当然でしょう。

 偶発的に担当したのですから、形式的にはIT部門担当だとしても、役員から見ればあくまでも他部門が主であり、IT部門は付録です。付録ですから、本気でITに取り組む意欲はありません。

 予算承認と実行決裁のときに、役員会で面倒なことにならなければ良いのであって、あまり変わったことはしたくない。コスト削減を実現させるだけで面目が果たせる。経営革新だとはいっても、多額なカネをかけてまでIT化するのは面倒だという気持ちです。社長やほかの役員も、CIOに大きな期待はしていないケースが多いでしょう。

 この状況があながち悪いと決め付けるのは一面的です。通常の製造業の場合、IT費用は売上高の1%程度でしょう。しかも、IT部門はそれなりに頑張っているので、現状よりも10%コストダウンするとか、10%利益を上げるのは困難だと認識しているのかもしれません。そうだとすれば、決算に与える影響は0.1%くらいなのですから、役員がそのようなことに関心を持つよりも、顧客開拓や資金調達など他部門の業務に高い関心を持つのは、むしろ健全な態度だともいえます。

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 逆に、変にITに興味を持ち、大規模システムの構築を主張して、積極的に取り組めと指示されたらどうでしょうか。

 恐らくこのプロジェクトは数年かかるでしょう。当初は計画段階や予備作業ですから、あまり費用はかかりません。しかし、1年後や2年後の開発段階になると膨大な費用が発生しますが、そのときには新しいCIOになっているのです。新CIOにしてみれば、そのようなリスクの高いプロジェクトを進めるのにはちゅうちょするでしょうし、いったんは承認した経営陣も、実際にカネが出る段になると、考えも変わるでしょう。


 新CIOは当然プロジェクトの詳細を知らないので、IT部門が前CIOに代わって説明責任を負わされます。しかし、提唱者を失った状態で正当性を主張できるとは思えません。しかも、素人CIOの思い付きで出された指示ですから、いろいろな矛盾をはらんでいます。結果として、プロジェクトは葬り去られ、IT部門が失敗の汚名を着せられるのです。

 もっと悪いのは、費用をかなりかけた後になって、このような状態が発生することです。単にプロジェクト中止だけでは済まされなくなります。このように、CIOの残りの任期が短い場合には、ハイリスク・ノーリターンなのですから、決して大掛かりな体制変更や大規模プロジェクトに手を出してはいけません。いつでも引き下がれる改善程度にしておくのが安全です。

ドン・キホーテが正しいとは限らない

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 話を御前講義に戻しましょう。兼任CIOは、ほかの主任務に専心するためにも、ITにはあまり時間を割かれたくないので、内心は御前講義などは迷惑だと思っているかもしれません。あなたとしても、御前講義などは費用対効果の少ない無駄な仕事でしょう。あまり真剣にならずに、CIOが求めることだけを報告する程度で良いのではないでしょうか。余計な入れ知恵をして、変な大規模プロジェクトを言いだしたり、あなたに面倒な調査を指示したりする事態を避けることが肝要です。

 IT部門は経営に関する知識を持てといわれます。それは教科書的な経営学の知識ではなく、自社が置かれた環境に特化した知識、すなわち現状認識です。その最大の事項は、経営に携わる人に関する知識でしょう。上記の状況になったのは、CIO個人の問題ではなく、経営者の総意であり、株主もそれを容認しているのです。


 経営陣がITに関心を持たないのであれば、地味なIT運営をすることが経営方針に合致したIT戦略です。IT部門が教科書的あるべき論を振りかざし、ドン・キホーテ的な行動をすることだけが正しい選択だとはいえないのです。

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