連載
» 2006年08月16日 12時00分 UPDATE

運用管理者のための知恵袋(6):ファイルサーバの導入に失敗しない方法

ファイルサーバは、中小企業から大企業まで、あらゆる企業で利用されている代表的なIT機能だ。しかし、あまり深く考えることなく、安易に構築・運用されているケースが多い。今回は、ファイルサーバ導入における失敗を防ぐ方法を考える

[sanonosa,@IT]

 ファイルサーバは、中小企業から大企業まで広く使われている。しかし残念ながら、ファイルサーバの導入における各種の問題点についてあまり理解せず、場当たり的な導入をしている企業は多い。そこで私が経験した過去の失敗事例を交えながら、ファイルサーバの導入に失敗しない方法を考えてみたいと思う。

その1 サーバ機ではなくPCを使ったためにハードウェアトラブルが頻発する

 ファイルを共有するだけであれば、あえて高価なサーバ機を導入せずとも、普通のPCにちょっと大きめなディスクドライブを搭載しておけば十分ではないかと考える人は多い。古くなって誰も使わなくなったPCをファイルサーバに転用している人もかなり多いと思われる。かくいう私も、会社が小規模だったころは普通のPCをファイルサーバとして使っていたが、異常音が出始めてからわずか数時間後にシステム停止してしまい、何の手も打てなかったという苦い経験がある。

 この構成の一番の問題は、ハードウェアトラブルが頻発するということである。よくあるハードウェアトラブルとしては、ホコリがたまることで、パーツがショートしたり放熱が不十分で熱暴走することや、ディスクドライブの冷却が十分でないため、すぐに死んでしまうことなどがある。そもそも、サーバ機とPCでは設計が異なる。24時間連続運用が前提の用途であれば、多少値が張ってもサーバ機を利用することをお勧めする。

その2 キャパシティ計画がずさんだったため、ディスク容量の需要に追いつかない

 ファイルサーバを立てること自体は割に簡単であるが、導入時にキャパシティ計画を立てておかないと、その後のディスク容量増強が困難となる。ストレージはあればあるだけ消費されてしまうとよくいわれるが、これは多くの場合、事実である。初期のころは十分であったディスク容量もいずれ一杯になるということを前提に計画をしておくことが必須である。私の場合、需要の増加にディスク容量増強が追いつかず、数カ月もの間、ユーザーにディスク容量節約のお願いをしたという苦い経験がある。

 ディスク容量の増強にディスクドライブの追加だけで対応できるのか、それとも外付けのシャーシが必要になるのか、サーバ自体を入れ替えなければならないのかは、キャパシティ設計時に考えておくべき必須要素である。また、サーバ入れ替えという方法を選択するのであれば、データコピーのための時間も考慮に入れるべきだ。概してファイルサーバのディスク容量は大きいので、ひょっとしたらコピーだけで数日かかるかもしれない。その期間中ファイルサーバが使えないなんてことになると、クレームが殺到するのは目に見えている。

その3 部門サーバを統合したら権限管理がとても大変になった

 各部署ごとにファイルサーバが設置されている企業も多い。また、資源の効率利用とセキュリティ的な観点から、ファイルサーバを統合している企業も多い。ファイルサーバを部門ごとに設置するのがよいのか統合したほうがよいのかは、一長一短があるので一概にいえない。

 私の場合、以前に部門サーバを全社的に統合した経験があるが、そのときに一番大変だったのは権限設定である。部署によっては大変細かい権限設定を行っていたところがあり、そのときはその権限設定ポリシーを全社的な統一ポリシーとした。しかし、やってみれば分かるが、社員数が多くて組織変更が多い企業においては、権限設定の運用コストはとても高い。ほどほどのセキュリティポリシーにしておくことをお勧めする。

その4 Windows以外のクライアントからつなげない

 ユーザーの使うOSはWindowsだけとは限らない。Macintoshかもしれないし、LinuxやUNIXかもしれない。プロトコルについてもCIFS、AppleTalk、NFSなどの一般的なファイル共有プロトコルだけをサポートすればよいのか、それともFTPなどもサポートしなければならないのかはあらかじめ確認しておく必要がある。もし選んだファイルサーバのOSやアプリケーションがそれらのプロトコルに対応していないと、後から対応することが非常に困難になる。

 私の場合、以前ファイルサーバとしてWindows Serverを使っていたころ、Macintoshを主に使っているユーザーから「ファイルサーバにはどうやって接続すればよいのか」と尋ねられたことがあった。社内にMacintoshユーザがいることは想定外だった。急いで対応したが、調査や設定、テストまで完了するのに丸1日を費やした苦い経験がある。その時はWindows ServerがAppleTalkに対応していたのでなんとか対応できたが、もしAppleTalkに対応していないOSやアプリケーションを使っていたとしたら対応は難しかっただろう。

その5 NASを増設しようとしたら販売終了していた

 NASをファイルサーバとして利用すると便利なケースが多々ある。それは通常、NASがファイルサーバとしての利用を想定して設計されており、ファイルサーバに必須な要件が一通り取り揃えられているからである。しかしNASはメーカーごとに仕様が異なっていることも多い。特に独自OSを採用しているようなNASの場合、システム拡張はそのメーカーに依存するので注意が必要である。

 私の場合、同一機種をもう1台購入すると自動的にデータ同期を行ってくれるという機種を、以前に導入したことがある。そのときは予算の都合で1台だけ購入しておいて、いずれ2台目を増設する計画でいた。しかし2台目を導入しようとしたときには、すでにそのメーカーは同一機種の販売を終了していた。こんなことにならないためにも、もしNASを導入するのであればそのメーカーの将来性も考慮したほうがよい。

ファイルサーバの運用に失敗しないためには

 あまり深く考えずにファイルサーバを導入しているとしたら、この5つの事例は結構盲点となっているのではないかと思う。これらの事例を踏まえ、ファイルサーバの運用に失敗しないためにはどうすればよいかを下記にまとめてみた。

  1. サーバ機もしくはNAS専用機を使う
  2. ディスクドライブは一般PC用とサーバ用では平均故障間隔(MTBF)が全然違うため、必ずサーバ用のものを使う
  3. ディスクドライブの冷却はドライブの寿命に大きく影響するので、冷却機構がきちんとしている機種を選ぶ
  4. キャパシティ計画をきちんと行う
  5. ディスク容量の拡張が容易な機種を選ぶ
  6. ほどほどの権限管理ポリシーにしておく
  7. 扱うクライアントの種類を全て把握する
  8. NAS専用機を導入する場合はそのメーカーの将来性も考慮する

 以上を参考にして、ファイルサーバを快適に構築・運用していただきたい。

著者紹介

▼著者名 sanonosa

国内某有名ITベンチャー企業に創業メンバーとして携わる。国内最大規模のシステムを構築運用してきたほか、社内情報システム業務を経験。韓国の交友関係が豊富なことから、韓国関連で多数のシステムインテグレーションを行ってきた。


Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ