連載
» 2006年09月13日 12時00分 UPDATE

開発チームを作ろう(2):エンジニアのやる気は報酬だけじゃ維持できない (1/3)

[佐藤大輔,オープントーン]

本連載は「プロジェクトと人」を「人」に視点を当て、そこからある程度の普遍性を持ったプロジェクト運営のプロセスを探り出すことを目的としています。第1回(「スキルシートでいったい何が分かるのか」)はEさんを例に、プロジェクト内でうまく活躍できずに去らざるを得なかった経緯を見ながら、「チーム構成プロセス」や「開発プロセス」の「難しさ/問題点」を洗い出しました。今回は、皆さんから寄せていただいた第1回記事に対するWeb投票結果の考察から話を展開していきます。

集計結果から導き出される次なる課題

 以下がWeb投票の結果です。「第1回において、Eさんがチームを去らねばならなかった最大の問題点は何だと思いますか」というのが質問です。選択肢は5つ設定しました。

  1. プロジェクト入隊試験などフィルタリングを行わないチーム構築プロセスの未整備。あるいはメンバー選びなどを支援するノウハウのない所属する組織
  2. メンバーの質を選びようもない業界全体の人手不足
  3. 月単価とスキルシートで人を売り買いする中・元請け企業の体質
  4. 入った作業者(Eさん)の個人的素養の問題
  5. 入った作業者(Eさん)を教育するプロセス。あるいは実装から作業に至るまで、個人の能力にかかわらずパフォーマンスが出せるようになっていない開発プロセスの問題
    • 1→ 24人 (17.91%)
    • 2→ 11人 (8.21%)
    • 3→ 54人 (40.3%)
    • 4→ 2人 (1.49%)
    • 5→ 43人 (32.09%)
    ALT 図1 Eさんがチームを去らねばならなかった最大の問題点

     選択肢ごとに簡単に分析してみましょう。まずは第2位から第5位まで、最後に第1位という順で分析してみることにします。

     第2位「5. 入った作業者(Eさん)を教育するプロセス。あるいは実装から作業に至るまで、個人の能力にかかわらずパフォーマンスが出せるようになっていない開発プロセスの問題」が、Eさんがチームを去った最大の問題だとするもの。

     この回答が多かったのは、あらかじめ想定したとおりでした。たしかに「最低限度のスキルがあれば、個人の能力に依存しないでもプロジェクトが円滑に進むような“開発プロセス”」は重要です。しかし、前回の事例は「その最低限度のスキルがEさんにあるかないかをフィルタリングするプロセスはないのでは?」という説明を事例を通してしています。

     よって私は「Eさんのスキルや性格をあらかじめフィルタリングしておくプロセスは必要だったのでは?」と考える立場を取っています。

     3番目に問題点であるとされたのは、「1. プロジェクト入隊試験などフィルタリングを行わないチーム構築プロセスの未整備。あるいはメンバー選びなどを支援するノウハウのない所属する組織」です。この回答は、筆者の「しめしめ」という回答です。第1回の本文中にあるように、私は、チームの構築プロセスや、メンバーを選定するノウハウを組織に持っておくことが重要だと考えています。

     4番目は「2. メンバーの質を選びようもない業界全体の人手不足」です。この回答は、筆者のみならず多くの業界関係者の頭を悩ませている問題です。この回答に対しては、チームの構築を含めた開発プロセスという問題をはるかに超えてしまう問題なので、今回の連載ではあまり深くは論じません。ただし、私も技術者の1人として、業界の魅力を向上させ、優秀な人材が夢を持って集まれるようにしていかない限り、業界全体の活力は失われていってしまうだろう……」という危機感を持っています。皆さんも同じ危惧(きぐ)は抱いていることと思いますので、別の機会に深く検討できればと思います。

     5番目は「4. 入った作業者(Eさん)の個人的素養の問題」です。この回答も“あり”だと思いますが、ほとんどの方は選択しませんでした。「問題は開発者個人の資質にある」といい切ってしまうと、「開発プロセスによって、個人の能力のぶれを平準化し、ソフトウェアの品質向上を目指す」という連載の趣旨を放棄する恐れがあります。本連載では、プロジェクトの失敗を「開発者の個人的素養の問題」として安易に結論付けるのではなく、どうすれば自分のプロジェクトを守れるかという視点で検討していきたいと思います。

     さて、最大の問題とされたのは「3. 月単価とスキルシートで人を売り買いする中・元請け企業の体質」でした。

     実はこの選択肢は「ちょっと質問の表現が良くなかった」という反省もあります。といいますのは、記事本文の内容にかかわらず、多くの人が「日ごろ思っていること」として投票してしまう可能性があるからです。実際多くの方が記事やEさんという題材抜きでクリックされたのではないでしょうか? とはいえ、問題の本質の1つがここにあることも事実です。

     さて、「プロジェクトチームを作ろう」2回目では、この「中・元請け企業の体質」というものを考え直してみましょう。本当に「体質を改善せよ」というだけの単純な問題なのでしょうか?

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