データセンターのサービスを上手に使う間違いだらけのデータセンター選択(8)(3/3 ページ)

» 2007年02月21日 12時00分 公開
[近藤 邦昭,まほろば工房]
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さらに高度な独自サービス

 これまで挙げたサービスは、データセンターのいわば基本的なサービスといえるものです。しかし、データセンター各社ではさらに、利用者に便利にかつ安全にデータセンターを利用してもらうために独自のサービスを行っています。これらを表3にまとめました。

休憩所
アクセススペース
レンタル会議室
マネージドサービス 機器監視
サービス品質監視
機器レンタル 機器リース
機器設置サービス
インテグレーションサービス
表3 データセンターの提供するより高度な独自サービス


 例えば、夏場であればデータセンターは外気に比べ相当に冷え切っていますから、その中で何時間も作業することは体に良くありません。そこで、データセンター内に利用者向けの休憩所やデータセンターの機器設置スペースの外からアクセスするためのアクセススペースを設けている場合があります。また、複数人で作業状況を確認したりするためのレンタル会議室を設けているところもあります。

 これらは、データセンターを検討するときにあまり選択基準として選ばれませんが、実際にそこを利用する運用者としては、ぜひとも取り入れておきたい基準です。

 このほか、pingによる基本的な機器の死活監視に加えて、サーバ性能を測定したり、ネットワークパフォーマンスを測定するなどの品質管理サービスを行っているところや、設置する機器のレンタルなどのサービスを行っているところもあります。特にデータセンターから保守対応を前提に機器をレンタルする場合に、機器メーカーに問い合わせることなく、サービスの一環として機器の交換などを即座に行ってくれるセンターもあり、万が一の場合非常に便利です。さらには、データセンターから機器をレンタルすることで、機器の発送やゴミの問題を解決し、データセンターによってはラックへの機器の設置もあらかじめ行ってくれるというサービスもあり、うまく使うと非常に便利です。これにインテグレーションサービスを加えれば、サービス開始までワンストップで対応してもらうことができます。

 データセンターには、遠隔地に機器を設置するという不便さがありますが、このようなデータセンター独自のサービスを活用することで、運用管理の作業量を減らすなどもできます。

 データセンター利用に当たっては、まず設置する機器の洗い出しが必要ですが、それらを運用するために必要な作業を併せて検討し、これに応じたサービスを提供してくれるデータセンターを選択する必要があります。

 また、今回紹介したサービスについても、データセンターによって有料・無料などの違いがあったり、紹介した以外の便利なサービスや設備を多く提供しているところも少なくありません。データセンターと契約するときには、こうした細かい部分までを一度すべて聞き出し、有効に活用することをお勧めします。

 さて、次回は、本連載の最終回となります。そこで、これまでに説明したデータセンターの機能やサービスを比較検討できるように、実際のデータセンターの例を紹介したいと思います。

著者紹介

▼著者名 近藤 邦昭(こんどう くにあき)

1970年北海道生まれ。神奈川工科大学・情報工学科修了。1992年に某ソフトハウスに入社、主に通信系ソフトウエアの設計・開発に従事。

1995年ドリーム・トレイン・インターネットに入社し、バックボーンネットワークの設計を行う。

1997年株式会社インターネットイニシアティブに入社、BGP4の監視・運用ツールの作成、新規プロトコル開発を行う。

2002年インテック・ネットコアに入社。2006年独立、現在に至る。

日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)の会長も務める 。


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