IRR(あいあーるあーる)情報マネジメント用語辞典

internal rate of return / 内部利益率 / 内部収益率 / 内部利子率 / 投資収益率

» 2007年07月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 投資効果を評価するために使われる指標の1つで、一定の投資期間を通じた投資額の現在価値の累計と、(将来的な)収益額の現在価値の累計が等しくなる利率(割引率)のこと。NPVがゼロになる割引率である。IRRが資金調達コスト(資本コスト)を上回っている場合、その投資は魅力的だと判断できる。

 J・M・ケインズ(John Maynard Keynes)のいう「資本の限界効率」の考え方と同じもので、投資理論や不動産投資の分野などではIRR(内部利益率)と呼ばれるが、資産運用などでは金額加重収益率(MWR:money-weighted rate of return)、債券投資などでは欧米式最終利回り(YTM:yield to maturity)という言葉が使われることもある。

 IRRはDCFに基づく投資分析ツールで、初期投資額(元本など)と最終的な回収額(売却額など)に加えて、期中のキャッシュフロー(追加投資などのキャッシュアウトフロー、および利子・地代・分配金などのキャッシュインフロー)を含め、正負のキャッシュフローすべてについて時間的価値および再投資を考慮に入れた収益性を示す。すなわち、期間中に資金が一定の率で増減することを前提にした指標であって、IRRを算定するには期初・期中の投資額および期中・期末の将来収益が確定ないし予測できることが必要である。

 投資・回収のタイミングやペースの異なる投資案件や金融商品のパフォーマンスを比較することができ、不動産投資やファンド、企業価値などの実績評価・投資判定に使われる。一般の事業計画に対する意思決定にも利用され、IT投資プロジェクトの可否決定や目標設定に使用する例も見られる。

 なお、IRRを求める方程式は高次代数方程式であり、次数の数だけの解が存在することからほとんどの場合、解析的に解くことができない。そのため実際に値を求める場合は、適当な計算を繰り返して当てはまりのよいものを探索するという、数値的な方法が取られる。表計算ソフトのIRRの関数でも、こうした数値的解法で値を求めている。

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