SAPジャパン、2008年度はもっと「日本化」2007年のハイライトと2008年のフォーカス

» 2008年02月06日 00時00分 公開
[谷古宇浩司,@IT]

 SAPジャパンは2月6日、2007年度の業績の振り返りと2008年度の注力分野に関する記者説明会を開催した。2008年度は、同社代表取締役兼CEO 八剱洋一郎氏が通年で指揮をとる初めての年となる。八剱氏は製品やサービスの単純な日本語化ではなく、日本化を推進すると強調、前社長ロバート・エンスリン氏がおよそ2年かけて実現した成長路線の一層の拡大を目指す。

 2007年度の同社の売り上げは対前年比14%増の711億7000万円。このうちソフトウェア関連の売り上げは同21%増の539億3000万円だった。対前年二桁増に寄与した要因として同社が挙げるのは、新規ビジネスエリアの拡大。同社が提唱する「エンタープライズSOA」「BPP」(ビジネス・プロセス・プラットフォーム)のコンセプトの浸透によるNetWeaverおよび関連製品の売り上げが対前年比2.3倍に伸びたほか、GRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)、CPM(企業業績管理)事業など、従来SAPが展開してきたERP関連とは異なる新事業が堅調に立ち上がり、対前年比3.8倍の成長を実現した。

SAPジャパン写真 SAPジャパン 代表取締役兼CEO 八剱洋一郎氏

 そのほか、SAP認定コンサルタントの対前年1882人増となる1万1123人の確保、SAPジャパンユーザグループ(JSUG)の会員数 同79社増の403社の獲得といったビジネスパートナー強化策の推進も同社の売り上げ拡大に寄与している。同社 パートナー本部長 安田誠氏によると、SAP認定コンサルタントについては、2008年度でさらに2000人の追加を見込む。また、認定コンサルタントのエンタープライズSOAスキルの向上も促進していく。

 製品面では、他社との連携で成果があった。マイクロソフトとはOffice製品とSAPのERP製品間でデータ連携が可能なソフトウェア「Duet」の共同開発・実装作業を完了し、アドビシステムズとは、Webアプリケーションに適するインターフェイスの開発で協業体制を構築した。

 そのほか、中堅企業取り込み施策として、導入の際の総コストの可視化を実現するため、ライセンス料やコンサルティングフィー、教育サポート費用などをまとめてパッケージ化し、カットオーバーの時期も明示した「新SAP Business All-in-One」を2007年後半から提供し始めた。

 2008年度は、2007年度の施策を継承するのが基本路線。新規パートナーの獲得やSAP技術者の育成、カスタマーイノベーションセンターの設立を予定している。特に、カスタマーイノベーションセンターでは、顧客の要望を積極的に取り入れながら、SAP標準製品の「日本化」や新しいビジネスモデルの開発を行っていく。すでに2007年12月に設立しており、これまでの開発実績として、「締め請求」や「帳合」「賞味期限管理」など、日本独自の商慣習に基づいた機能をSAPの標準機能として実装した。

 新事業の展開として、ビジネス・オブジェクツを活用したビジネス・インテリジェンス分野への進出を計画している。

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