HP、2010年までに電力消費量を2005年比で25%削減社会的責任として実施し、パートナーにも環境配慮を求める

» 2008年02月18日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2月18日、報道関係者向けの説明会を開催し、「日本HPのグリーンITへの取り組み」を発表した。同社は1月に日本国内で同社内におけるグリーンITへの取り組みをけん引する部会である「日本HPグリーンITイニシアチブ」を設立。100名規模で運営し、取り組みを強化していくほか、DC(直流)電源搭載機器の市場投入なども行っていくという。

 日本HP 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏によると、HPでは米国本社を中心として企業の社会的責任の一環として環境保護活動を実施。「リサイクル・リユース」「環境配慮設計プログラム」「エネルギー消費量の削減」「サプライチェーン」の4つを主に行っている。リサイクル・リユースでは、2007年度には50万トンのIT機器をリサイクルした。「50万トンとは3億台のPCに相当する重さだ」(松本氏)という。

松本氏写真 日本HP 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏

 環境配慮設計プログラムとは、1992年から実施している環境に配慮した製品活動。エネルギー消費量の削減では、2010年までに同社の製品とその企業活動によって、消費エネルギーを2005年実績と比較して25%削減することを目標としている。また、サプライチェーンでは、同社ではワールドワイドで300社から約6兆円分の製品やサービス・材料を購入しているが、この購入先に対してもHPと同様の環境配慮基準を求めていくとした。

 松本氏は、「エネルギー消費削減は順調だ。当初2005年比で20%削減が目標だったが、2007年実績ですでに19.2%の削減を実現したため、2月に目標を25%に引き上げた。これを実現するためには、2006年比で15%を削減する必要がある。目標を達成するためには、サーバの電力効率を50%以上、プリンタは30%、PCは25%以上向上させなければならない。また、当社自身もさまざまな取り組みが必要となっており、現在進行中だ」と説明した。

 具体的にHPが実施している取り組みは、「サンディエゴ事業所に5000枚のソーラーパネルを設置し、太陽エネルギー8.7ギガワットの購入を契約」や「アイルランドで2008年に80ギガワットの風力エネルギーの購入を契約」などを行っているほか、同社のデータセンターを統合する。同社のデータセンターは、現在85カ所にあるものを、米国オースチン、同ヒューストン、同アトランタの3拠点のデータセンター(6カ所)に集約する。さらに仮想化技術の実装や、運用の自動化、電源・冷却の最適化などを実施することで、「HPの本社があるパロアルトには6万人が住んでいるが、このパロアルト1都市分の電力を削減できる」(松本氏)という。

比較グラフ写真 HPの調査によると、サーバの運用コストは、サーバ自体の購入代金と比較してインフラコストは2004年に、電気料金も2008年に上回るという

 日本HP独自の取り組みとしては、NTTファシリティーズと業務提携を締結。ブレードサーバの導入や空調、データセンター設計などのコンサルティングサービスをNTTファシリティーズから受けており、両社共同でデータセンター構築に関する共同提案なども行っているという。また、「CO2削減インセンティブプログラム」として、同社サーバの消費電力削減機能を用いて削減できたCO2量に応じて、ユーザーの毎月のサーバ利用代金を削減するプログラムも実施している。このプログラムについて松本氏は、「まだ、日本のユーザーにはこのような使い方が浸透していなく、まだあまり利用されていない。昨今、グリーンITの認知度が高まっているので、2008年は期待できるのではないか」と説明した。

 また、グリーンITへの取り組みはコスト面でも無視できないという。日本HP テクノロジーソリューション事業統括 マーケティング統括本部 Adaptive Infrastructure ビジネス本部 担当マネージャ 高原明彦氏は、「データセンターのサーバの過密化や、1サーバ当たりのインフラコストとエネルギーコストが急上昇しており、現在約2倍程度にまで増加している。お客さまもそのことに気付いており、最近はサーバ自体の値段の安さよりも、消費電力など運用コスト面をより重視する傾向がある。これらの点も考慮して、近々より環境を考慮したDC(直流)電源搭載のサーバを市場投入する予定だ」と説明した。

 HPとしては、サーバの効率性を客観的に評価する指標を作るべくStandard Performance Evaluation Corporation(SPEC)において「SPECpower_ssj2008」を策定したほか、データセンターの指標を策定し、グリーンITの普及に務めているとした。

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