構造化された見積もりプロセスに従うと見積もりの精度が徹底的に高められるが、このアプローチと、プロジェクトの見積もりと統治専用にデザインされた技術とを組み合わせることで、さらに優れた結果を導き出すことができる。パラメトリック/予測モデリングツールを使えば、プロジェクトに関する既知の情報を評価し、分からないものについては多彩で有意義な実世界の比較データをモデリングもしくはシミュレーションできるようになる。
機能やワークフローの自動化に重点を置く大半のプロジェクト管理ツールとは異なり、パラメトリック/予測モデリングツールは、プロジェクト実行性のモデリングと最適化で組織を支援し、確定した提供ガイドラインをプロジェクトが必ず満たすようにする。パラメトリックモデリングの名前は、プロジェクトのシミュレーションプロセスの中で修正されるプロジェクトのパラメータや可変要素からきている。パラメトリックモデルは一連の計算式で構築されている。これらは、参考書にあるような標準的な計算式であったり、コンサルタントやベンダが開発した独自の式であったり、これらを組み合わせたものであったりする。パラメトリックモデルに有効性を持たせるには、実際のプロジェクトのデータをベースにしているか、もしくはそれを使って実証されている必要がある。それは、データ分析手法の高度化であり、モデリングソリューションの有効性を判断する基盤プロジェクトのデータの幅広さである。
パラメトリック手法は不明確な状況を定義/実証済みの数学モデルに当てはめるのに非常に便利だ。これらは、これまでの豊富な経験が役立つように組み入れることができ、人間だけでプロセスを考えるときほど先入観にとらわれない。具体的な仕様はベンダごとに異なるが、堅牢な見積もりツールなら、部門単位の生産性ソリューションとエンタープライズアプリケーションを統合するためのオープンアーキテクチャを提供し、以下のようなアプリケーションエレメントを組み入れる。
インターフェイス:プロジェクトを定義および描写するための直感的なインターフェイス。ユーザーは、既存のプロジェクト「テンプレート」を使うか、個々の作業エレメントを登録/定義することで新しいプロジェクトを作成できる。一連のポップアップウィンドウや注釈がユーザーにプロジェクトの範囲、複雑性、および技術の定義プロセス手順を案内する。
シミュレーション/モデリングエンジン:広範囲に及ぶプロジェクトの履歴の中から求められた洗練された業界特有の数学モデル、行動モデル、およびメトリックス。
知識ベース:知識ベースは「社内の仮想専門家」の役割を演じ、同じようなプロジェクトの履歴を基にして、デフォルトのプロジェクト定義、値、範囲、補正を提供する。情報がかなり限られている場合、ユーザーが初見で見積もりを出せるようにしたり、詳細が明らかになるのに合わせて見積もりを洗練できるようにする。
出力:プロジェクトの結果、代替案、そして未完部分を手早くまとめ、さまざまな表、グラフ、およびレポートにして表示する。
図1および図2は、見積もりツールの1つである「SEER by Galorath」のパラメータの入力GUIと結果ページの出力を示している。
今日の主要パラメトリックモデリングソリューションを使えば、さまざまな詳細レベルでプロジェクトを描写したり、プロジェクトのコスト、作業、期間の見積もりを入手したり、プロジェクトの可変要素を最低1つ変えることでトレードオフの分析およびテストをしたり、プロジェクトの具体的な目的達成確率や、基盤の制約や仮定に小さな変更を加えただけでその確率を向上させる方法など、多彩なレポート機能を提供できる。一流のツールなら、ソフトウェア規模測定「ウィザード」を内蔵しており、開発コスト、作業、そしてスケジュールに単独で最も大きく影響するソフトウェアの規模測定を支援する。
パラメータにはほかにも以下のようなものがある。
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