日本のメインフレームの30%が今後5〜7年間でオープン化できるHPがレガシーマイグレーション推進に意欲

» 2008年04月24日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ヒューレット・パッカード(HP)は、インドネシア・バリで開催した「HP Asia Pacific & Japan Executive Forum 2008」において、レガシーマイグレーションなどについての戦略を語った。米HP Business Critical Systems担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのハーバート・ツウィガー(Herbert Zwenger)氏によると、「日本には4000以上のメインフレームシステムが存在する。今後5〜7年間でその内の30%をオープンシステムに移行できるポテンシャルがある」と語った。

 ツウィガー氏は、メインフレームの問題点に「コスト増」「俊敏性の低下」「人材の高齢化に伴うスキルの低下」の3点を挙げた。例えば韓国の場合、「メインフレーム市場は2002年の2億ドル強から年々低下し、2006年には8000万ドル程度まで低下している。このトレンドはどの国でも変わらない」(同氏)と説明した。

 同氏によると、HPはアジア太平洋地域において8000件のマイグレーション実績を持ち、この1年間でも50件以上のマイグレーションを実現したという。日本でもアステラス製薬や大日本印刷のマイグレーションを実施し、アステラス製薬では50%の運用コスト削減に成功したとしている。

 一方で日本市場の特殊性も認める。「日本には、NECや富士通といった独自のメインフレームベンダがおり、存在感が強い。これがレガシーマイグレーションが進まない一因になっているともいえるだろう。しかし、日本には4000以上のメインフレームが現存しており、そのうちの30%が潜在的にマイグレーションへの必要性に迫られている」と語り、マイグレーション市場は大きいと分析した。

 HPではレガシーマイグレーションを推進するべく、いくつかの新しい取り組みを実施。企業がメインフレームで利用している既存アプリケーションの変換を支援する「モダニゼーション・オファリング」を行うとした。具体的には、東京や米国、インドなどの各拠点に、レガシーマイグレーションの成功事例を紹介する「ショウケースセンター」を開設し、啓蒙活動を行っていく予定だ。

 ショウケースセンターでは、メインフレーム上のシステムを可視化し、数百万存在するコードの相互関係を発見し、分かりやすく分析するツールなどを提供する。ツウィガー氏は、「レガシーマイグレーションのリスクはゼロではないが、コスト削減面でのメリットを示すことができる。日本は変化を嫌いレガシーマイグレーションの進ちょくが遅い地域だが、世界的に成功したケースを紹介することで少しずつ進んでいくはずだ。最近では日本でも株主のコスト削減圧力は無視できないものになってきている点も追い風だ」とコメントした。

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