以上で顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を切り口とした情報を明らかにすることができました。
しかし、集めた個々の情報が、ただ並んでいるだけでは意味がありません。個々の情報を整理することが重要になります。その際に便利なのが、SWOT分析です。
SWOT分析とは、外部環境・内部環境を縦軸に、プラス面、マイナス面を横軸にとり、マトリクスに分けて、主となる事実を入れ込んでいくものです。
まず、自社(Company)の主な事実を内部環境のプラス面、マイナス面に書き込み、外部環境には顧客(Customer)、競合(Competitor)の主な事実を、プラス面、マイナス面に分けて入れ込みます。
これによって、3Cで調べた事実が互いにどういう関係にあるのか、自社にとって、何が強みで何がチャンスなのか、何が弱みで何が脅威なのか、すっきりと分かるようになります。
SWOT分析は、自社の強みを最大限プラスに展開するにはどうすればよいのか、自社の弱点から生じるマイナス面をどのように回避すべきなのか、といった視点で、3Cで調べた事実を改めて整理できる点がポイントです。
さあ、いよいよ最後のステップです。大まかな市場の設定から、3Cによる状況把握、さらにSWOT分析によって、「狙うべき市場とターゲット」を把握、すなわち「セグメンテーション」ができたと思います。
しかし「自社の商品・サービスが、競合他社のものより魅力的である」とお客様に直感的に分かってもらえなければ、せっかくのセグメンテーションも意味がありません。そこで必要になるのがポジショニングです。
ポジショニングとは「人の心理の中で、自社の商品・サービスをどう位置付けられたいのか?」、「どんなイメージを持ってほしいのか?」を決定することであり、マーケティングの4Pを考えるうえでも重要なポイントです。
具体的には、4つの評価軸と、それに基づくマップを作成することで、商品・サービスの打ち出し方を視覚的、直感的に明確化していきます。
ポジショニングには主に4つの評価軸があります。
・商品・サービスの特徴
品質の良さ、性能のバラツキ、商品デザイン、耐久性の有無など。
・付随サービス
デリバリーの形態、顧客サポートの充実度など。
・イメージ
ブランド力、高級感の有無など。
・価格
プレミアム路線なのか、低価格路線なのか、など。
以上、4つの分野をベースに具体的な軸を考え、ポジショニングマップの座標を作ります。
ポジショニングを誰の目にも分かりやすくするために作成するのがポジショニングマップです。競合商品との違いが明確になるように、2つの軸を設定します。この軸の選び方については、絶対的な方法はありません。何回も作ってみて最もしっくりする軸を設定することになります。
ポジショニングマップの例
2つの軸で縦軸、横軸にとり、自社と競合を座標上にプロットして完成させます(クロス集計データを基データとして、類似項目同士が近くに配置されるよう、計算でマッピングしていくレスポンデンス分析を使う方法もあります)。
上記の表は、「商品の特徴」と「付随サービス」を軸にとった一例です。自社の位置付けを瞬時に把握することができます。
さて、以上で売れる市場を探す方法をひと通り見てきました。STEP1からSTEP4にかけて、市場の状況を見極めるとともに自社の特性を明らかにすることで、市場を絞り込んでいく流れが感じられたのではないでしょうか。
ぜひ自社の商品や、自分の好きな商品、関心の高い商品で、ひと通り考えてみることをお勧めします。STEP1〜STEP4に沿って何度も考えているうちに、今回のテーマに対する理解が深まるとともに、「売れる」市場が明確に見えてくるプロセスを体感できるようになるかと思います。
次回はマーケティングの4Pについて詳しくお話しします。「売れる仕組みづくり」を、さらに深く掘り下げていきましょう。
斉藤 孝太(さいとう こうた)
株式会社SIS(ストラテジック インテリジェント システム)代表取締役。
大学卒業後、広告代理店に企画営業として勤務し、主に大手マンションデベロッパーの販売促進を担当。その後、企画・マーケティング会社にてマーケティングプランナーとして勤務。大手メーカーなどのマーケティング計画策定から販売マニュアル作成などを手掛ける。
その後、マーケティング・コンサルティングファームに入社し、多数の顧客案件を成功に導く。現在、店舗系ビジネスにおける顧客との関係性強化や、CRMを販売現場に導入するコンサルティングを実施している。
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