IAサーバをこの手に、富士通がシーメンス合弁会社を買収「グローバル化の扉を開けた」

» 2008年11月04日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 富士通は11月4日、ドイツのシーメンスと1999年に合弁で設立した「富士通シーメンス・コンピューターズ」(FSC)のシーメンス保有株を取得することで合意したと発表した。買収額は約4億5000万ユーロ(約562億円)。富士通の代表取締役社長 野副州旦氏は「私自身がグローバル化の扉を開く」と話し、買収を欧州や中東での製品展開の足がかりにすると強調した。

富士通の代表取締役社長 野副州旦氏

 買収が完了するのは政府機関が承認を終える2009年4月1日の予定。2008年度下期は引き続き1対1の資本構成を維持する。FSCは11月3日に新しい経営陣として、富士通の経営執行役上席常務のリチャード・クリストウ氏が会長に、シーメンス出身のカイ・フローレ氏が社長(CEO)に就く人事を発表した。FSCは約1万人の社員を抱え、2007年度の売り上げは約1兆円。サーバやPC、サービスを展開している。

 富士通の狙いはIAサーバ強化によるグローバル展開だ。富士通はIAサーバ「PRIMERGY」を展開しているが、企画・開発を行っているのはFSC。野副氏は「IAサーバの開発の主体はこれまでFSCだった。日本でのIAサーバの展開が半年から1年遅れることもあり、プロダクトビジネスのマイナスになっていた」と問題点を指摘した。一方で、IAサーバはUNIXサーバやメインフレームと比較して今後の高成長が期待できる製品カテゴリで、「IAサーバのグローバル体制を、新しいFSCを中心に築く必要がある」(同氏)と判断した。「私自身はIAサーバを中心としたプロダクトベースのグローバル化を考えている」

 FSCを買収することで富士通は、これまで欧州や中東で異なっていたIAサーバのラインアップを統一し、富士通ブランドの訴求力を高める。日本への新製品の投入も早める予定。「今後はIAサーバにリソースを集中させる体制を取る」(野副氏)としていて、成長分野で勝負する。英国にあるサービス子会社、富士通サービスとも連携する。

 IAサーバの開発は引き続き、FSCのドイツ拠点で行う。野副氏は「日本の開発(体制)も早期にFSCに持って行く。必要なリソースはすべてドイツに移してもよい」と覚悟を示した。現状、富士通とFSCのIAサーバのシェアは両社合わせても1桁台。「まずは2桁を目標にする」(富士通の取締役副社長 富田達夫氏)という。

 FSCが現在展開しているコンシューマ向けのPC事業は見直しを行う。野副氏は「(事業)構成がどう変わるかはここ数カ月で結論を出していかないといけない」と話した。

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