さくらインターネットは2月18日、新しい空調設備を備えたホスティング専用のデータセンターを運用開始したと発表した。小型のAtom搭載サーバを採用し、1ラック当たり最大160台の高密度を実現した。
同社の堂島データセンター(大阪市北区)で新たに1フロアを増床し、ホスティング専用データセンターとして利用開始した。床面積は650平方メートルで、82ラックを設置する。これで堂島データセンター全体の総ラック数は641ラックになった。
増床フロアには「アイルキャッピング」と呼ぶNTTファシリティーズの新しい空調技術を導入した。データセンターのラック列とラック列の間を密閉し、冷気と暖気が混じらないようにする技術で、二重床から吹き出す冷気でサーバラックの前後から効率的に冷やすことができる。サーバから排出される暖気はそのまま天井のスリットに流されて再度冷却される。さくらによると、アイルキャッピングと通風性に優れたデータセンター専用ラックを使うことで、空調効率が20%向上するという。
高い冷却効果を得られることでサーバの集約度も高められる。さくらはアイルキャッピングの採用に併せてデータセンター用のサーバを自社開発した。1つはL字型をした1Uハーフ型のサーバで、もう1つは通常の1Uサーバの4分の1サイズとなるクォータ型サーバ。クォータ型サーバはインテルのモバイル端末向け低消費電力プロセッサのAtom(1.6GHz)を搭載し、小型筐体と低消費電力を実現した。Atomプロセッサの消費電力は32Wという。これまではラック当たり72台のサーバ収容が最大だったが、クォータ型サーバを使うことで最大160台のサーバを1ラックに収めることが可能になるという。
Atomプロセッサはネットブックなどで使われるプロセッサだけにそのパフォーマンスも気になるが、さくらインターネットの企画部 広報宣伝チーム 統括マネージャーの山下淳治氏は「Atomプロセッサでも2〜3年前のサーバプロセッサと変わらない性能が出る。データベースをごりごり動かすと厳しいが、Webサーバやテスト用途なら問題ない」と話した。さくらは以前からAtomプロセッサ搭載サーバを利用している。
さくらは増床したデータセンターを使った新サービスを今春に提供開始する予定。空調コスト低減やサーバ密度のアップが図れることから、サービスレベルを向上させたり、価格を抑えたサービス提供が可能としている。
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